〔リバネスセンシズ〕世界各国の自律的発展を促すひと(後編)

〔リバネスセンシズ〕世界各国の自律的発展を促すひと(後編)

リバネスセンシズでは、リバネスメンバーのインタビューを通して、そのパッションを紐解き、実現しようとする個々の未来像をお伝えします。

田島 和歌子(たじま わかこ)
修士(工学)

専門分野:分子生物学(味覚)

(聴き手:佐野 卓郎)

海外での活動に憧れて、南の島国サモアに赴いた田島さんは、そこでの2年間の生活で、様々な経験をした。その経験が彼女のビジョンにどんな影響があったのだろうか。さらにインタビューを進めてみた。

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佐野:サモアでの生活って、日本人の私には想像がつかないのですが、どんな感じでした?

田島:とても大らかな国です。たとえば、満員のバスに乗ったとします。日本だったらつり革に掴まって立っていると思うんですが、サモアだと、座席に座っている人の膝に、後から来た人が座ったりするんです。

佐野:それは驚きですね。そんな文化のまったく違う国で理科教育の支援をしてたんですよね。

田島:はい、2年ほど。

佐野:何か気づいたことなどはありましたか?

田島:私以外にもボランティアの人がいて、みんな、学校の教育を変えようと頑張っていました。みんな滞在に期限がありましたから、自分が授業をやるだけでなくて、仕組みを残して継続できるようにと心掛けていたんです。でも、なかなか定着しない。私がサモアに着いたときも、多くの備品が埃を被っていました。もっと戦略的にやっていく必要があると感じました。
理数科教育のレベルが非常に低いことは国際的にも指摘されているので、サモア人も、やらなければいけないことだとわかっているんです。ただ、理科教育がその先何につながっていくのかが分からず、なぜ必要なのかが理解できていないようでした。現地の人でその理解ができている人、パッションに溢れた人を創出しないとこの状況を打破するのは難しいと思いました。

佐野:教育と人材育成ですね。リバネスが必要とされているのかも。

田島:そうですね。ほかにもリバネスが必要だと思ったことがあります。
実は現地に研究所があるんです。地元のシーズやリソースをつかって売り物を作ろうとしていて、ボランティアはそういったところにも入っていました。
フルーツをつかった加工品や、香料など産業になりうるものを作っていたんですが、「それをできるのは研究者だ」と直感的に思いましたね。当時、リバネスでは「一地域一博士」という考えを唱えている人がいましたが、サモアも同様に必要なんです。理科教育も、研究者も。

佐野:日本に戻って、そのままリバネスに足を運んだのは、そういう理由だったんですね。で、入社プレゼンにつながるわけですか。入社のときから、フィリピンでの活動を始めようとしていますがどういった理由でしょうか?

田島:たまたま、丸さんがフィリピンに行ってたのを知りました。発展を始めているフィリピンには興味があり、研究者が中心となって事業創出や教育の仕組みをつくっていくには、絶好のタイミングと考えたんです。そこで、まずはベンチャー創出と事業化の支援をするプログラム「テックプランター」を実施することから始めました。現在は、受賞チームの支援をしています。
現時点では、フィリピンに展開したい日本企業を巻き込んで、私たちのビジョンを共有しながら進めていこうとしています。

佐野:最終的にはどんなことを目指しますか?

田島:最終的には、現地に事業創出や価値の創造をできる人材を育成したいと考えます。そのためには、絶対に教育が必要。次世代教育と合わせて、進めていきます。

佐野:やっぱ途上国が田島さんのフィールドになるんでしょうか?

田島:そうですね。途上国って、よく「支援慣れしてる」とか言われたりします。実際、ODAとかを受け入れることに慣れてる国があるのも事実かもしれません。一方で、多くの企業が製造拠点として、またマーケットとしてのターゲットにしています。途上国では人材を安く調達することができますし、商品は安くてもたくさん売れる場がそこにある。言い方が悪いかもしれませんが、場面によっては搾取されがちな気がするんです。
私は、その国を良く知っている人間がその国を守っていくべきだし、発展させていけるための力をつけていかなくてはならないと考えています。その国のためにと考える人が、その国で活躍していけるようにしていきたい。
たとえば、小国や力のない国の中には、支援が得られない国もあります。貧しいが故に平和でいられない国があります。誰かに頼なくても生きていけるような力を、仕組みを、そういった国につくっていくことで、人々が豊かに暮らしていける世界を実現したいと考えています。

 

外国での活動の中で、田島さんはそこで生活する人々が抱える多くの課題に出会った。そして今、リバネスの知識とネットワークを持って、改めてグローバルに挑もうとしている。国境と文化を超えて世界を見つめる彼女の視線の先には、輝く豊かな未来がある。