〔リバネスセンシズ〕「美しい食料生産」を追求するひと(後編)

〔リバネスセンシズ〕「美しい食料生産」を追求するひと(後編)

リバネスセンシズでは、リバネスメンバーのインタビューを通して、そのパッションを紐解き、実現しようとする個々の未来像をお伝えします。

五十嵐 圭介(いがらし けいすけ)
博士(農学)

専門:植物遺伝育種学

(聴き手:佐野 卓郎)

→前編はこちら

佐野:将来はどのようなことをしたいと考えていますか?

五十嵐:大まかに2つの軸があります。
一つ目ですが、実は私、コンピュータグラフィックスとか映像が好きなんです。それがどんな課題を解決するのかは、まだわからないですけどね。たとえば、科学技術をわかりやすく伝えるコンテンツなどを作っていけたら良いなと思っています。研究だけに邁進してきた人間にはできない、一方で映像だけをやってきた人間にもできない。この両者が一緒になってコンテンツづくりをしていくようなことができればと考えているんです。
実はある実験教室で、中高生向けに実験のしくみを映像で見せるようなチャレンジをしてみたことがあります。ムービーで理解を促す試みは本当によかったと思いました。

佐野:なるほど。確かに、目に見えにくい現象を映像にするのは、わかりやすくて良いですね。
あと、もうひとつの軸とはなんでしょうか?

五十嵐:はい。二つ目は、食料生産における資源循環のことです。「美しい食料生産」というのがよいのかもしれません。

佐野:資源循環は、やはりうまくいってないんでしょうか?

五十嵐:日本では、食料自給率という観点でもすでに問題が明らかですね。大規模農業をする国から長距離輸送を経て、食料を賄っているわけですから。
大学生の頃、先生とラオスの農業の視察に行ったのですが、そこで伝統的なラオスの生活を見ることができました。古典的な農業を見て「本当に綺麗なしくみだな」って思いました。一方で、日本を見てみると美しくないわけです。

佐野:具体的には、ラオスの農業のどんなところが魅力だったんでしょうか?

五十嵐:山肌に焼畑をして陸稲を植える「焼畑稲」というものを見に行きました。現地で農業をやっているひとたちと、農作業をしたり、飯をべたり。山肌で稲を育てて、村まで帰っていく。過酷な労働環境のはずなのに、みんな楽しそうに笑って仕事をしていました。世の中の課題を解決しようとするとき、不便であることが課題ではない。ワンシーンを見ただけなのですが、そう感じました。
一方、ラオスの伝統的農業では、エネルギーや資源の循環がコンパクトに収まっていたのです。近年の農業を見てみると、大規模農業や長距離輸送など、土地や環境に無理をさせているように感じますよね。これをもう一度コンパクトにできないだろうか。植物工場や培養肉などもそうですが、もっとエネルギーロスを減らして生産できないかと考えるようになりました。
地球や環境への負荷を考えれば、人が介在する資源循環には、まだ課題が山積しているように感じています。どのように解決していくべきか、答えはまだわかりませんが、考え続けて、私ができるアプローチを探していきたいと思います。