【実験教室 実施報告】中学生37名が「薬を生み出す研究」に挑戦

【実験教室 実施報告】中学生37名が「薬を生み出す研究」に挑戦

〜生薬の観察・成分抽出・TLC分析から、結果をもとにした条件検討まで〜

株式会社リバネスは、2026年8月25日(火)、聖光学院中学校・高等学校にて、中学1〜3年生37名を対象とした出前実験教室「究極の回復薬を創れ!」を実施しました。

本実験教室では、生薬を実際に手に取って観察するところから、成分の抽出、薄層クロマトグラフィー(TLC)による分析、抽出条件の検討、さらに得られた結果をもとにした生薬の配合までを一連のプログラムとして実施しました。

今回特に重視したのは、決められた手順で実験を行い、用意された正解を確認するだけではなく、得られた結果をもとに「次に何を変えて確かめるか」を生徒自身が考えることです。
観察し、実験し、結果を見て、次の一手を考える。研究者が日々行っている試行錯誤そのものを、中学生が自分の手で体験することを目指しました。

「結果から次を考える」薬学研究に挑戦

教室の前半では、桂皮、陳皮、生姜、紅花、菊花、甘草、大茴香、鹿角の8種類の生薬を観察しました。その後、班ごとに担当する生薬から成分を抽出し、TLCを使って目的とする成分が取り出せているかを分析しました。

成分が抽出できたかを確認した後も、実験はそこで終わりません。次に生徒たちが挑んだのが、「目的とする成分を、より効率よく取り出すにはどうすればよいか」という問いです。

変えることのできる条件は、エタノール濃度、抽出温度、抽出時間、生薬を粉砕するかどうかなど。各班には抽出したい成分の構造式も提示し、成分の性質や最初の実験結果を手がかりに条件を検討しました。

生徒たちは、「一つの条件だけを変えて比較する」という対照実験の考え方を踏まえ、何を変え、何を同じにするのかを班で話し合ってから実験を開始しました。

限られた時間のため検証は1サイクルでしたが、得られた結果から条件の違いと抽出結果の関係を考え、次に確かめるべき条件について考察するところまで取り組みました。

五感と物語を入口に、本格的な実験へ

専門的な薬学研究へ入っていく入口として、今回の教室では「自分自身の感覚で確かめること」も大切にしました。

最初に生薬を配り、見た目や香り、手触りなどを自由に観察。試食できる生薬について、実際に口にして確かめてもよいと伝えると、生徒たちの表情が変わり、匂いや味について活発に感想を交わす姿が見られました。

また、身近なインクを用いたクロマトグラフィーを体験してからTLCへ進むなど、専門的な分析手法についても、まず現象を自分の目で確認したうえで本格的な実験につなげました。

さらに、一連の実験には「寒波によって体の冷えに悩む村から、回復薬をつくってほしいという依頼が届く」という物語設定を取り入れました。

物語そのものを主役にするのではなく、「何のためにこの実験をするのか」を一つの目的につなげるための仕掛けです。生徒たちは、村からの依頼に応えるために成分を調べ、より良い抽出条件を探っていきました。

実験で得た結果を使い、「究極の回復薬」を考える

最後には、それまでの研究結果を使って「究極の回復薬」の配合を考えました。

生徒たちは、各生薬の特徴や含まれる成分、自分たちが行った抽出実験の結果、提示された症例の情報を机の上に並べ、どの生薬をどの割合で組み合わせるかを班ごとに検討しました。

条件の異なる抽出液には、色や見た目にも違いが現れます。生徒たちは自分たちの実験結果を見比べながら、使用する生薬や配合について意見を交わしました。

ここでも、一つの正解となる配合を再現するのではありません。自分たちが観察し、実験して得た情報を根拠に、自分たちなりの答えをつくる。生薬の観察から始まった活動を、抽出・分析、条件検討、そして得られた知見の応用までつなげることで、「結果を得て終わり」ではない研究のプロセスを体験しました。

薬剤師だけではない、薬学研究の世界を中高生へ

教室の最後には、講師を務めた株式会社リバネスの土屋菜摘から、薬を生み出す研究には多くの試行錯誤があり、思い通りにならなかった結果も次の研究につながる重要な情報であることを伝えました。
また、自身が化学に向き合ってきた経験から、「好きなことを好きと語り続けよう!」と生徒たちへメッセージを送りました。

「薬学」という言葉から、薬剤師という職業を思い浮かべる中高生は少なくありません。しかし、その背景には、自然物や化合物を調べ、有用な成分を探し、その作用を確かめ、新しい薬や治療法へとつなげていく幅広い研究の世界があります。

今回の教室では、その世界を説明として聞くだけではなく、自分で観察し、成分を取り出し、分析し、結果から次の実験を考えることで、「薬を生み出す側」の薬学に触れる機会をつくりました。

実施終了後には、「薬学に興味が湧き、将来の進路として考えてみたい」と講師へ声をかけに来てくれた生徒もいました。研究を体験することを通じて、薬剤師という職業だけではない薬学研究という学問の面白さや魅力が、生徒たちに伝わったことがうかがえます。

リバネスでは今後も、健康・医療に関する知識を伝えるだけではなく、身近なものを起点に、自ら問い、実験し、考える研究体験を通じた健康教育を推進していきます。また、中高生が医学・薬学に関わる多様な研究の世界や、そこに挑む研究者の姿に触れ、自らの興味や将来の選択肢を広げられる機会をつくっていきます。