フォトニックネットワーク向けの新スイッチ開発が省電力化への道|慶応大学

フォトニックネットワーク向けの新スイッチ開発が省電力化への道|慶応大学

フォトニックネットワークとはなにか。

フォトニックネットワークとは、伝送、多重化、多重分離、交換、経路制御などのネットワーク機能を、すべて光技術だけで行うネットワーク。
従来のネットワークでは、伝送経路に光ファイバを用い、信号の増幅は光増幅器を用いていたが、回線の交換(スイッチング)だけは光信号をバッファリングするための蓄積技術や、スイッチ技術が現時点では確立していないため、光を一度電気信号に変換した上で電気的にスイッチングを行っている。このため、ネットワークの通信容量のボトルネックは、このスイッチング性能に制限されてしまうことになるため、光交換技術の研究開発が推進されている。

せっかく光ファイバを使っているのに、現在の技術だと伝送回路全体を光信号で行うということが出来ていないんですね。その為に、光信号を電気信号に変換するという仕組みが必要になり、それが電力を食うという状態にあるという訳です。

今回慶応大学が開発したスイッチは、この電気信号変換部を担うことが出来る超小型スイッチだということになる。特殊な材料を使い、制御光パルスを当てることにより回路のON/OFFが可能になる。

特筆すべきはその応答性と小ささ。スイッチのスピードはそのまま性能に反映されてしまう為、重要なのです。2進数の世界ではON/OFFが全て。0と1を表現するのに1秒でいけるのと、10秒かかるのでは、そこで処理できる情報量が違うと言うことはすぐにわかるでしょう。

MEMS(Micro Electrical Mechanical Systems)スイッチ、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)を用いた光スイッチも検討されているようだが、スイッチング速度が1msを超え、寸法も大きいのがボトルネックだとのこと。

最近、光を使ったデバイスの研究発表が続いている。材料に対しての光応答というのは、非常に微細化に寄与するし、熱や電力からの解放に大きなインパクトがありそう。色々なモノが小さくなると、産業界では多くの応用が見られます。楽しみですよこれ。

 

慶應義塾大学 理工学部 電子工学科 教授 津田 裕之