惑星の進化について思いを馳せたことがありますか
東京大学総合文化研究科
広域システム科学系
小河正基准教授
地球が生まれて46億年と言われている。
固体地球物理学・惑星科学という分野で研究を行なっている小河正基先生は、惑星の進化を系統的に理解する為に、解析を重ねている研究者だ。
地学の教科書に必ず出てくるこの図。
プレートがずれ込み、マントルに一直線に降りていくというのは、誰もが知っているイメージだと思うが、現在の個体地球物理学では、地震波を解析することにより、プレートの存在が確認できているのだそうだ。(データをお見せできないのが残念)
一口に地球を分析するといっても一筋縄で行かない。
なぜならそれは膨大な量のデータとの戦いだからだ。
現在の地球については、様々な方法により沢山のデータが取得されている。
それこそ地域をはってまわるような地質学の知見や、世界中に置かれた観測機によって測定された地震波のデータ。衛星の撮影データ類など、色々な分野の研究者が色々な情報を持っているのだ。
これらを解析することで、地球内部の構造がみえてくるのだから凄い。
小河先生は、地球に関する知見を分析するのと同時に、比較的近くにある惑星についても分析を試みている。金星や火星と地球を結びつけて考えるのだ。
それぞれの惑星にも火山が存在している。その点だけ見れば、似ているともいえるだろう。
一方で地球はプレートが動く(プレートテクトニクスという)が、火星や金星、そして月では動かない。この違いは一体何だろうか。とても興味深い。
一見全く違う星に見えるその世界が、系統立てて理解出来るのではないかというアプローチが研究分野として存在している。
遠くの惑星の過去の姿をどうやって推定するのか
インタビュー中に出てきた火星の歴史の話もまた興味深かった。
実は、火星の昔の姿というものが推定されているのだ。この推定方法というのにも理論がある。
大昔は隕石が多かった。その為クレーターが沢山あるような領域は古い層だ。比較的なめらかな層はそれよりも後に出来た地層であり、それら地層と火山の位置等を総合的に考えると、昔の姿が見えてくるのだという。なるほど!
どうしてこの研究分野に進んだのかを聞いてみた
元々は地震をやろうと思ってはいたものの、何から手をつけていいのかが分からない分野だった。地震予知もなかなか将来が見えない。そんな時に当時の指導教官にもらったのがマントル対流についての研究だったと言う。
現代は当時からは考えられないほどの情報にあふれている。
日々センサーは高機能になり、衛星を利用した分析も進んでいる。火星や金星にも探査機が飛んで行く時代だ。昔から比べれば爆発的な情報量の増加である。
言い換えれば、わかっていないことが多い分野とも言えるだろう。
膨大な情報を解析し、まだ見ぬ姿を見つけ出す。そんな研究者だった。
余談だが、火星には下部マントルが無いとか、月は小さすぎてマントルが無いかもしれないとか、半導体みたいに小さな世界を研究していた著者からみるとスケールの大きな話で、わくわくしきりでした。