生きているという状態は物理屋さんから見るとふしぎな状態なんですよ:金子 邦彦先生<前編>

生きているという状態は物理屋さんから見るとふしぎな状態なんですよ:金子 邦彦先生<前編>

金子先生は物理屋さんである。

物理で取り扱うのは平衡状態な事が多い。
その視点から見ると、生体内で時々刻々と変化する、この「生きている」というものがふしぎで仕方がないのだ。

物理学を先行していた金子先生。「自分は天邪鬼だから」と仰っていたが、素粒子だとか、超電導といったものには余り興味が沸かなかったのだという。
一方で統計力学に興味を持ち、非平衡状態の統計力学で生命のふしぎに迫れるのでは無いかと思い大学院に進学するも、なかなか難しかったようだ。

そののちに、カオス理論に出会う。
時間的にダイナミックに変化するカオスというものが加わる事によって、時間変化をモデルに加えられるようになったのだ。
金子先生は、物理と生命との繋がりが、段々と見えてきている物理学者なのです。

二段構えの研究体制

金子先生は理論を組み立て、シミュレーションを行う。
共同研究先には、実際に生命を取り扱う人たち。大腸菌などを活用して、実際に理論が実証されるのかをデータとして作るような関係があるという。
中でも、同じ遺伝子を持った細胞でも、細胞ごとにタンパク量に偏りが出て違う種類の細胞に分化するという理論が実験でも確認されつつあるのには興奮しているという。

遺伝子が同じ細胞なのに、中身に変化が現れるのだ。同じ遺伝子を持っているのにだ。

複雑系生命システムとは?

生物は色々な要素が集まって出来ている。
分子が集まり、タンパク質を作る。タンパク質が集まり細胞を作る、細胞が集まり臓器を作るといった具合である。
物理的な頭で考えると、物質というのはどこに行っても性質は変わらない。しかし、生命内部では変わってくるのだ。あるタンパク質が存在したとして、Aという場所ではA'、Bという場所ではB'のように働くという事が発生する。
生命は個が全体を定義するが、全体が個を変化させるという事が発生する世界なのだ。
その為の一般化された方程式を導き出すということが研究のミッションである。

理想細胞を創ってみよう!!

タンパク質というものは、数千万種あると言われている。それぞれのタンパク質がお互いに助けあいながら増えていくのだ。相互関係がそこにあることがわかっている。
例えば、タンパク質の量を多い順に並べてみよう。そうすると、ある程度綺麗に逆比例の関係が導き出せるモデルが作ることが出来た。それを実際の細胞で調べてみると?バッチリはまるのである。
当然興味は、がん細胞に及ぶ。がん細胞なら何か特異性があるのではないか?
残念、がん細胞でも当てはまってしまったので、あまりに一般的に当てはまり過ぎたと苦笑していた。

後編に続く<進化のスピードが早い個体とは何か?> 2012.5.13UP!

金子邦彦先生よりメッセージ

関連リンク

Kunihiko KANEKO Laboratory
・ 金 子 研 究 室 ・ (非線形科学,複雑系の物理) 東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻相関基礎科学系 東京大学・複雑系生命システム研究センター (センター長) …
・ 金 子 研 究 室 ・

(非線形科学,複雑系の物理)

東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻相関基礎科学系
東京大学・複雑系生命システム研究センター (センター長)

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