あなたが見えている世界は本当にそこにあるのだろうか? 山口 泰
ここに一枚の不思議な画像がある。
近くからと遠くからと、二箇所から見て欲しい。
この絵は、人間の視覚と脳の処理方法を研究した結果で作られている。
近くから見ると自動車なのに、遠くからみると猫に見えるのだ。
なぜこんな事が起こるのだろう。
様々な処理は全てコンピュータ上で行われるが、山口先生の研究の面白い部分は、人が見ることを前提にして画像を作り出すということ。
例えば、先程見せた画像であれば、自動車(画像1)と猫(画像2)という二枚の画像から人に見せるための一枚の合成画像が計算される。
例えば、先程見せた画像であれば、自動車(画像1)と猫(画像2)という二枚の画像から人に見せるための一枚の合成画像が計算される。
人間の視覚系や脳が、その計算された画像を目にした時にどう捉えるのか、視覚の性質をうまく利用して画像を作り出すことが研究対象だ。
「人間の視覚をごまかせれば良い」
例えば8mmフィルムの映像を補完するというような事も研究対象になる。8mmフィルムというのは、片側にしか穴がないため、逆側のフィルムが痛むのだが、その痛んだ側は映写した時にぶれた動画になってしまう。それをソフトウェア的に解決する。上手く補完するのだ。
この写真で言えば、2本立っている消火栓の片方を消去する。
この動画で言えば、センターに立っているパラソルを消去する。消えた空間で実際に何が起きているかは問題ではない。それを如何に補完してごまかすのかを突き詰める。
動画になれば、動的に動くものの連続から目的物を消去することになるのだから、そのロジックを導き出すのは簡単ではない。
人間の視覚は、脳が勝手に補完している
最初に見せた画像。この原理はなにかというと、人間の視覚系にはコントラスト感度といって、目立つ模様の細かさがあるのだという。線の太い・細かいや、コントラストの強弱(メリハリがあるかないか)によって、人間の視覚が注目する場所が異なる。
ある一定の細かさに人間の意識は集中するために、2種類の細かさで表現した画像を一枚に集めると、ある距離でみると画像1に注目があつまり、またある距離でみると画像2を視覚が捉える事になる。
これ、面白いでしょう?
画像と自分の距離によって、注目する像が変わるんです。そこにある画像は一枚なのに。
山口先生曰く、人の認知に関する部分の研究が面白いということだ。是非、研究室のホームページをチェックして欲しい。
先生の本棚見せてもらいました
一番上の段は学生の頃の教科書!さすがにプログラミング関係の本は多いですね。エッシャーの本とかが入っているのが面白いです。