その疑問、私がお答えしましょう! 「ドーピング」

その疑問、私がお答えしましょう! 「ドーピング」

ドーピングとは競技能力を強化するための行為で、その種類は多岐にわたります。持久力を増したり、集中力を高めたりするための薬剤投与だけでなく、好調時の自分の血液を冷凍保存しておき、試合の直前に再び体内に入れ酸素運搬能力を高めたり、遺伝子を操作してパフォーマンス(競技成績)を上げるような方法もあるのです。

その中でも有名なのは、筋肉増強剤ですね。もともとは、がっしりとした体つきをつくることで知られている男性ホルモン「テストステロン」を投与していましたが、体内ですぐに分解されて効果が出にくいのが課題でした。

そこで改良を重ねて開発されたのが、合成タンパク質同化ステロイドです。

取材協力:早稲田大学 人間科学学術院 教授 今泉 和彦さん

取材協力:早稲田大学 人間科学学術院 教授 今泉 和彦さん

注射や経口摂取を通じて体内に入ると、効率よく筋細胞まで運ばれたあと、筋肉のもととなるアクチンやミオシンというタンパク質を大量につくるよう指示を出します。この薬剤投与とトレーニングを一緒に行うことで、短期間で筋肉量をたくさん増やすことができます。

しかし、この薬剤は体内に残りやすいためドーピング検査により血液や尿中から検出されてしまうのです。 ドーピングは、スポーツにおける公平性と肝機能の異常や心筋梗塞など甚大で深刻な副作用を引き起こすことから禁止されています。

近年はこうした薬剤がもたらす生理的作用の研究が進み、ヒトの筋肉が成長することや肥大することのメカニズムなどが次第に明らかになりつつあります。将来的には、薬に頼らなくても効果を発揮するトレーニングの方法も開発されるかもしれませんね。

取材協力:早稲田大学 人間科学学術院 教授 今泉 和彦さん

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