栄養たっぷり、涙の層が目をまもる

栄養たっぷり、涙の層が目をまもる

涙が何からできているか知っていますか。
涙の原料はじつは血液で、涙腺の中で血液から血球を除いてつくられます。
ですから、涙には血液と同じようにビタミン、イオン、タンパク質、酵素といった栄養分がたくさん含まており、目の表面の角膜や結膜に栄養を与えています。

涙腺から分泌された涙は、まばたきによって目の表面に広がりますが、目の表面からは涙を定着させるための粘着性のあるタンパク質を多く含むムチンが分泌されていて、さらにまぶたのふちから蒸発を防ぐ油が分泌されて、涙と混ざり合います。
この涙液、ムチン、油の3つの要素がバランスを保つことで、目の表面の健康を守ることができるのです。
また、涙とまばたきは、栄養を運んでくれる血液とそれを送り出す心臓の鼓動のような、とても大切な役目を持っています。
勉強に読書にメールと忙しく過ごした後、目が痛くなることがあります。
それは、まばたきが減って目が乾燥し、ドライアイになっているのかもしれません。

慶應義塾大学 医学部 教授 坪田 一男(つぼた かずお)さん慶應義塾大学の坪田一男さんの調査によれば、細かい文字を読んだりパソコンを使ったりと、何かを見つめ続けると、まばたきの回数が減って10秒に1回程度になります。リラックスしている状態の3分の1しかありません。
まばたきが減ると、新しい涙が届けられなくなるうえに、蒸発が増えて目が乾燥し、ショボショボ、ゴロゴロしてきたり、充血したりします。
また、涙は目の表面をなめらかな球面に仕上げる役目もあり、涙が不足すると目の表面がでこぼこになって、目がかすんだり見えにくくなったりするのです。
そんなとき、涙の蒸発を防ぐ方法があるといいですよね。坪田さんのアイデアにより開発された特別なメガネは、フレームが目の周りをすっぽり覆うデザインになっていて、水を差せるポケットがついています。
そこに水を差しておくとゆっくり水分を放出し、メガネの中を保湿するのです。

ドライアイの原因追究、対策のための研究はまだまだ続きます。目を守る研究に、ますますのご注目を!

慶應義塾大学 医学部 教授 坪田 一男(つぼた かずお)さん

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Written by Yusuke Shnozawa