目の前に広がる世界を分析し、まだ見ぬ仕組みを発見する 中村 尚

目の前に広がる世界を分析し、まだ見ぬ仕組みを発見する 中村 尚

東京大学 先端科学技術研究センター 気候変動科学分野
中村 尚 教授

天気図が好きだった少年時代

中村先生は、小学生の頃から気象が好きだった。天気図用紙を親に買ってもらっては、ラジオの気象通報を聴いて自分で天気図を書く。毎日天気図を書く生活は大学一年まで続いたという。
今から思えば、おかしな子どもだったと振り返るが、そこから今の研究がスタートしている事を考えると「好きこそものの上手なれ」を地で行く研究者といえるだろう。 

研究者が足りない

東京大学 先端科学技術研究センター 気候変動科学分野 中村 尚 教授中村先生曰く、気象変動科学という分野は圧倒的に研究者が足りない分野になっているとのこと。
人工衛星観測や超高速計算機による数値気候モデリングの進化で、データは膨大になっている。過去のデータも大量にある珍しい分野であり、それを本当に活かした研究が求められるのだ。
フェーン現象・ラニーニャ現象・猛暑や冷夏等、気象予測には観測データが欠かせない。
そして、現代の気象モデルは、まだまだ誤差が大きくなるという事が発生する。
これを、観測データの分析を用いてよりよいモデルを確立するのだ。そこにはフロンティアが広がっている。 

新しい理論、見つかっていない理論はまだまだある

この気象の世界。
これからは全世界がつながっているという前提で研究が進んでいく。
かつて局所的なデータで天気図を書いていた子ども時代の中村先生。
現代はそうではない。
世界のあちらで起こった事象が、じつはこちらの天候に影響を与える。そういう事が観測データからもわかってきている。
小笠原付近で夏に発達する小笠原高気圧が、フィリピン付近の豪雨と関係している。
イメージする事はできるが、実際にそういう事が観測データから読み取れるのです。
そこに存在している、何らかの仕組み。そこに興味はありませんか? 

現代は、コンピュータの性能が圧倒的に向上している。

かつて、スパコンで処理しなければならなかった膨大なデータが、デスクトップPCで解析を進めることが出来るような時代だ。
コンピュータの発展に非常に恩恵を受けている分野だという中村先生。
今では気象データのみでなく、海流や水温、地表温度、天気、湿度、沢山の情報が溢れかえっている。これらのデータを用いて、「地球を舞台に実験できる」これがこれからの気象・気候研究の醍醐味だと言えるだろう。
地球全体を考えるという”全球的な”理解が重要となるのだ。 

地球全体を実験台にしてシミュレーションすることとは

近年の異常気象は「ゲリラ豪雨」という言葉を頻繁に耳にする当たり、気象は日本人にとっても関心の高いキーワードだろう。
これらは日本だけでなく、世界中の国に関連することだ。
豪雨・洪水・ハリケーン等。
これらを予測するという方法の精度があがることによって、警報の精度はあがり、世の中からより求められる情報源と成りうるのだ。 

膨大なデータを元に、数理解析を行い、理論を組み立ていく。中村先生の目の前には、文字通り「世界」が広がっていた。

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中村先生の本棚を見せてもらいました

中村先生の本棚。数学・物理・量子力学等、幅広い分野の書籍が見受けられます。

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図鑑の監修もされています

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