アボカドの脂肪分に隠されたひみつ芳醇な森のバターを味わいましょう
野菜エンスとは、サブウェイがお送りする、サイエンスで野菜を楽しむコーナー。サブウェイでおなじみのあの野菜、この野菜。普段何気なく食べている野菜について、もう少し知ってみませんか?
艶のある濃い緑色の葉が生いしげる高さ約10mの高木に、ぶらさがる緑褐色のごつごつした果実。
中央アメリカからメキシコにかけた熱帯地域を原産とする、アボカドです。
きめ細かく滑らかな歯ざわりの果肉は「森のバター」と称されるほど、アボカドは脂肪分を豊富に含んでおり、その含有量は実に20%もあります。
アボカドはなぜこんなにたくさんの脂肪分を貯めているのでしょうか?
種子植物が生育場所を拡大するとき、風や水などさまざまな方法を利用して種子を散布します。
鳥や小動物などに果実を食べさせることで、より遠くまで種子を運ばせる戦略をとる植物もいます。
その代表が糖分をたっぷりと蓄えたりんごやももの果実。
一方、アボカドの属するクスノキ科の植物では、糖分ではなく脂肪分を蓄えることにより、比較的大型の動物に好まれ、種子ごと食べてもらえるように工夫をしているのです。
脂肪と聞くとカロリーが高いように思えるかもしれません。
しかしアボカドの脂肪の主成分は、オレイン酸などに代表される不飽和脂肪酸。
二重結合を持つため体内で酸化されやすく、コレステロールを減少させたり、動脈硬化を防ぐ効果も次々と報告されています。
8000km離れた遠いメキシコから日本へ運ばれてくるアボカド。
木から切り離されたアボカドは、船舶のなかで15℃という環境下で「追熟」されます。
果実の成熟を促すエチレンの分泌により、細胞壁を分解する酵素がたくさん作られていきます。
そして、実が柔らかくなると同時に、細胞内に蓄えられた脂肪分が外に出やすくなり、バターのよう芳醇な香りを放出するようになるのです。
ゆっくり、じっくりと熟成するアボカドの旨み、口いっぱいに味わいましょう。