はばたけ!マンボウ

はばたけ!マンボウ

丸く平べったいからだに,上下に突き出た異様に大きな2 枚のひれを持つマンボウ。
成魚になると体長は2 m,重さは2 t を超える巨大な魚です。海中をのんびりと漂ただよっているように思われがちですが,水族館の水槽や海面から飛び出すほど,そのひれには,海をはばたく大きなパワーがかくされているのです。

多くの魚は,からだの上と下にある背びれと尻びれで舵かじを取り,後ろについた尾びれを左右に振ることでできる力「揚ようりょく力」で前に進みます。しかし,マンボウには尾びれがありません。代わりに,大きな背びれと尻びれを持っています。

これらを対にして,左右の同じ方向に同時に振ることで,それぞれが揚力をつくり出します。このふたつの揚力が合わさることで前進するのです。 また,まっすぐ前に進むためには,背びれと尾びれの大きさは同じでなければいけません。そのため,マンボウは上下対称なかたちをしているのです。

じつは,この大きな力を生み出す上下のひれを支え動かしている筋肉量もほぼ同じ。ひれの根元からマンボウのからだの約半分を占めるほどの大きさです。一般的にエンガワと呼ばれる部位にあたり,シコシコ,プリプリとした歯ごたえが味わえます。

水の中をはばたくように泳ぐマンボウ。水族館で出会ったときは,のんびりと動かす上下対称のひれに込められた力強さを思い浮かべてみてください。