関節拘縮症のエマ(2)ちゃんに、3Dプリンタが出来ること「Magic Arm」

関節拘縮症のエマ(2)ちゃんに、3Dプリンタが出来ること「Magic Arm」

3Dプリンタって、ご存知でしょうか。

先日書いたこちらの記事、エッシャーのだまし絵を真面目に3Dにしてみました。の中にも出てくるのですが、3Dのデータを取り込み、それを特殊な樹脂を重ねていくことで立体として完成させるというものです。現在では、樹脂も幾つかの種類があり、透明なものや、柔らかいものから硬いものまで、それらを組み合わせることで、人体のスキャンデータから自分の身体を再現するという事をやっている人たちもいます。

今回紹介するのは、この3Dプリンタを使って、関節拘縮症(アルトログリポージス – Arthrogryposis)という病気にかかっているエマちゃんに出来ること。

関節拘縮症(アルトログリポージス – Arthrogryposis)とは

関節を取り巻く関節包や靭帯が収縮したまま伸びなくなったために関節の運動が制限される事を特徴とする疾患。

これによって、エマちゃんの両腕は、自分の自由に動きません。

2歳のエマちゃんは、積み木で遊びたいのに、それが出来なかった。
デラウエア州立病院の研究者が、3Dプリンタで軽量で耐久性のあるカスタム外骨格を作ったのです。

カスタム外骨格とは、この写真で見えるように、背中と両腕の外側を覆うように取り付けられた腕の事を指しています。彼らはこれをMagic Armと呼んでいます。

こんなふうに。

このカスタム外骨格の特徴は何かというと、軽量で耐久性のある、個人にカスタムされたパーツだということでしょう。

3Dプリンタを使ってサクサクと作ることが出来るという事の意味することは何かというと、彼女の成長に応じて、パーツを新しく作ることが出来るという事です。

今はまだ3Dプリンタも高価ですが、恐らくこれからは大量生産によって3Dプリンタ自体は安価になっていくと思われます。このような応用によって、同様の症状に苦しむ人を助けられるかもしれない。

成長しても、うでを自分の力で上げることは出来ない

このひとがその研究者。Tariq Rahman博士です。

これが初期のバージョン

このMagic Armの一番の特徴は、外骨格で補助するパワーを輪ゴムの量でコントロール出来るということでしょう。手軽。

これによって、不足する力を補い、動けるように調整することが可能になる。この機構は将来にわたってある程度保証されるような気がします。

これが、Magic Armを生み出す3Dプリンタ

全体像はこんなカタチになっている。細いよね。

この機構、何かに似てると思ったら、そうLEGO!

3Dプリンタからはこのようにパーツが生み出されます

お母さんを抱きしめることも出来る。(と、著者はこの辺で目頭が熱くなる訳ですが)

3Dプリンタの応用がどんどん進んで行きます。

きっと、この樹脂ももっと強く、軽いものが生み出されるとおもいますし、安価に提供されるようになるでしょう。

Magic Armの3Dデータがクリエイティブ・コモンズで提供されれば、世界中でいろんな人がこれをいじることが出来るし、それによって最適化が進むはずです。

サイエンス&テクノロジーが、誰かに対して出来る事の、分かりやすい形。感動しました。