背伸びをしたら手が届く 生物学の入り口『ケイン基礎生物学』

背伸びをしたら手が届く 生物学の入り口『ケイン基礎生物学』

私たちは、たくさんの生き物に囲まれて暮らしています。
海には魚が泳ぎ、空には鳥が飛び、大地には草が生い茂る。
目に見えない微生物から大型の哺乳類まで、わかっているだけでも175万種を超えているといいます。

1995年にインフルエンザ菌の全ゲノムの塩基配列が決定され、生物学はゲノム生物学の時代に突入しました。
2003年にはヒトゲノムの解読が完了し、現在では3,000種以上の生き物のゲノムが解読されています。
そこからわかってきた生命の共通性と多様性を改めて認識し、生物学はさらにその先へ進もうとしています。
この本は、そんなこれからの生物学のエッセンスを集めたおすすめの一冊。
カラフルな図解とともに、「ミツバチがいなくなったら私たちの食卓はどうなるのか」など身近な話題や、生物学を学ぶことが実社会で役立てられている事例が、いたるところで紹介されています。
ただ暗記するだけではない、高校の学習参考書のもっと先を、背伸びしてのぞいてみませんか。

顕微鏡でやっと見えるよりもずっと小さな世界から、自然環境の中で関わりあって生きる地球規模の大きな世界まで、生き物の不思議と可能性にきっと気づけるはずですよ。(文・吉田亮祐)