小麦粉のモチモチ成分、取り出してみました。

小麦粉のモチモチ成分、取り出してみました。

もっちもちのパンや、コシのあるうどん。どれも小麦粉が原料の食べ物ですが、口に入れたときの食感には大きな違いがあります。その違いは何から生まれるのでしょうか?編集部で調べてみたところ、どうやら小麦粉に含まれるタンパク質がカギを握っているようです。このモチモチ食感のもととなるタンパク質を小麦粉から簡単に取り出す方法があると聞いて、「本当に取れるのかな?」と疑問に思いつつ、実際にやってみることにしました。

実験材料、機材

水(50ml)×3、お湯(適宜)、ボール、はかり、強力粉(100g)、薄力粉(100g)、中力粉(100g) 

実験方法

  1. 強力粉、中力粉、薄力粉100gを別々のボールに入れる。
  2. それぞれに水を50mlずつ加えて混ぜ、10分間よくこねる。
  3. ひとつの固まりにまとまったら、お湯を加えてデンプン質を洗い流す。
  4. 水気を拭き取って、得られたグルテンの重量を測定する。

いざ、材料を買いにスーパーへ行ってみると、小麦粉といってもたくさんの種類があることに気づきます。
一般的に、パンには強力粉、うどんには中力粉、お菓子づくりには薄力粉が用いられますが、なぜこのような使い分けがされているのでしょう?
このヒミツもまた、タンパク質にかくされていたのです。

実験開始!

材料もそろったところで、いよいよモチモチ成分を取り出します。
今回は、強力粉、中力粉、薄力粉の違いに注目して実験を行いました。 

まず、強力粉、中力粉、薄力粉を別々のボールに用意します。
次に、それぞれに水を50mlずつ加え、小麦粉とよく混ぜ合わせます。
生地が均一になるように、手のひらを使って一生懸命こねること約10分。
額には次第に汗が浮かんできました。ようやく生地がひとまとまりになったところで、ぬるま湯を使ってデンプン質を洗い流します。
すると、黄色くグニグニした触感の物体が残りました!この黄色い物体こそ、モチモチ成分の正体。
「グルテン」と呼ばれる、タンパク質のかたまりです。
軽く水気を拭き取って重さを量ったところ、小麦粉の種類によって取り出したグルテンの量には差がありました。 

じつは、小麦粉の種類は含まれるタンパク質量によって分類されており、タンパク質を12%以上含むものを強力粉といいます。
同様に、8.5%以下のものを薄力粉、強力粉と薄力粉の中間のタンパク質量のものを中力粉といいます。
これらのタンパク質の大部分は、水を加えてこねることで互いに絡まり合い、大きな網目状の構造体「グルテン」へと変化していきます。
タンパク質を多く含む強力粉はグルテンの形成量も多く、弾力のある生地をつくるのに向いているといえます。
もちもちのパンには強力粉、サクサククッキーに薄力粉が使われるのには、こういう理由があったのですね。(文・中嶋香織) 

グルテンのひみつ

グルテンは主に2種類のタンパク質が絡まり合って形成されています。
ひとつは、生地に弾力を与えているひも状のタンパク質「グルテニン」、もうひとつは粘性を与えている球状のタンパク質「グリアジン」です。
小麦粉の中では、これらのタンパク質はバラバラに存在しています。
小麦粉に水を加えてこねると、ひも状のタンパク質の端と端がつながって、どんどん長くなっていきます。
生地をさらにこねると、ひも状のタンパク質は球状のタンパク質を巻き込んで複雑に絡まり合い、網目状の構造を形成します。