世界で初めて「筋力余裕度計」の開発に成功 立命館大学

世界で初めて「筋力余裕度計」の開発に成功 立命館大学

立命館大学スポーツ健康科学部 吉岡伸輔 助教が開発したのが「筋力余裕度計」だ。
今まさに超高齢化社会へと突入している日本において、高齢者の筋力を簡単に把握することが難しく、トレーニングを成功させるという事自体に大きなハードルがありました。

吉岡助教が開発した「筋力余裕時計」は、しゃがんだ姿勢から全力で立ち上がった際に、膝と股関節で発生する力を測定するというもの。測定後に、その力を日常生活に必要な最低筋力値と比較する。

高齢者の場合、余りしゃがみこむ事が出来ないことがあるが、それでも測定が可能なのが特徴。

従来は、椅子からの立ち上がり動作で測定していたが、その場合

  • 手を使わずに椅子から立ち上がれな
  • 測定に体力が必要(20~30 秒間、全速力で座り立ち動作
  • 測定結果の精度が粗い(分解能が低い)

という課題がありました。

これをMEMSを用いたセンサを利用することにより、「一度立ち上がるだけで筋力を測定できるように」なりました。画期的。

日常生活に必要な最小筋力量とは、日常生活で一番きつい動作と言われている「椅子立ち上がり動作」を最小として計算。筋力にどの程度余裕があるのかを算出することが出来ます。

筋力余裕時計で結果が200%を示した場合、その人の筋力は日常生活に必要な筋力の 2 倍であり、十分に余裕があることを意味します。

実際の測定結果例

このグラフは、筋力余裕度計で測定した方の年齢と筋力の関係を記したものです。60 歳頃から急激に筋力が低下し始め、80 歳代で日常生活に必要とされる最小筋力値の水準まで筋力が低下することが示されております。言い換えると、生活の質の低下や寝たきりの予防などには 60 歳以降における筋力の管理が重要となることが分かります。また、80 歳以降では同年代の平均であっても筋力に余裕がなく、周りの同世代の人々と同じという状態で決して満足してはいけないことが分かります。

本機器は分解能が高いため、筋力の低下をいち早く察知でき、さらにトレーニングの効果もしっかりと把握できますので、筋力低下の対策に適した機器と言えます。

筋力の低下曲線が極端ですね。これらの結果を元に、筋トレメニューを組み、より効果的なトレーニング結果につなげるという事も検討されています。