テストステロンはアンチエイジングの北極星 堀江 重郎
アンチエイジング医学を知っているだろうか。もともとは健康長寿の研究で、見た目を改善するなど、女性をターゲットとしてスタートした。だが、医学が進展し、男性の加齢の正体が明らかになり「男性こそアンチエイジングといえる時代がやってきた」という。
男の人生を左右するホルモン
男子高校生だったら、ヒゲが生えたりして体つきが変化している真っ最中だろう。
その変化を起こしているのが男性ホルモンのひとつ、「テストステロン」だ。
その分泌量は10代後半にピークを迎え、その後だんだんと減少する。
中高年になると、集中力の低下や疲労しやすくなる、脂肪が増加する、筋力が低下するなどの変化が起きるが、これまでは「歳のせい」とひとくくりにされてきた。
しかし、こういった現象はテストステロンの分泌減少による。
中高年でもテストステロン分泌量の多い人はこういったことが起こりにくく、結果的に長寿になるのだ。
テストステロン補充療法を受けると、抗うつや内蔵脂肪減少などの効果が見られるという。
「知ること」がアンチエイジング
「テストステロンは男性にとって『北極星』のようなもので、男性の成長から加齢に影響する中心的な存在です。テストステロンの研究が進めば、男性がどのように加齢していくかがわかってくるでしょう」と堀江重郎さんは話す。
アンチエイジング医学の基本は、加齢とともに起こるさまざまな生命現象を解析して、それに対する対応策を練り、その結果として健康長寿を達成すること。
堀江さんは、男性ホルモンの研究成果をもとに、正しく健康支援を行っていくために日本で初めて男性の健康支援を専門とした「メンズヘルス外来」を立ち上げた。
「男女でからだのつくりが異なるだけでなく、かかりやすい病気や薬の効き方も違います。性差を意識した医療がますます求められていくと思います」。
テストステロンの分泌は、ストレスを避け、運動したり、冒険したり、何かに意欲を持って取り組むことで高められる。
男子のみんな、冒険しよう。
男性ホルモンとともに長生きしようではないか。(文・篠澤裕介)