脳波で楽器を演奏する!?Tomasz "Tomek" M. RUTKOWSKI
脳波で楽器を演奏する、そんなユニークな研究をしている研究者が筑波大学にいる。
トマシュ博士だ。
トマシュ博士は特定の脳波と特定の和音を結び付けて楽器を演奏するという前代未聞のチャレンジを成し遂げた。
そうして醸し出された音楽はとても幻想的だ。
トマシュ博士のメインの研究テーマは脳波を用いた入力装置の開発だ。
脳波で入力する、実はこれはとても難しいことだ。
例えば前述した楽器の演奏の場合、奏者は訓練に1年を必要とした。
集中したりリラックスしたりして脳の活動状態を変化させ、それによる脳波の変化を検出する。
その変化のパターンを入力信号として用いる。
例えば入力パターンが「はい」と「いいえ」の2パターンの場合、2パターンの脳の活動状態を使い分けられればいいだけなので、数十分の訓練で大抵は脳波で「はい」と「いいえ」がコントロールできるようになる。
しかしながらこれが楽器を演奏するレベルとなると、必要なパターンが増え、そのパターンの数だけ脳の活動状態を変化させなければならなくなる。
まさに訓練に次ぐ訓練が必要なのだ。
トマシュ博士は現在、誰にでも簡単に使用できる入力装置を開発するために、脳波と感覚刺激を組み合わせた装置の開発をしている。
例えば両手の10本の指先に振動する装置をおく。
それぞれの指に、1,2,3,・・・とIDを振り、ランダムに振動を与えていく。
3のIDが振られた指が振動した時、ユーザーがその指に集中すると特定の脳波が出る。
それを脳波計で検出することで3が入力できる。
簡単な訓練で多パターンの入力が出来る様になるのだ。 トマシュ博士は言う。
「脳波を使用した入力装置を開発するのは新たな言語を開発する様なものだ。」
日々トライ&エラーを繰り返しながら、その実用化に向けて今日もトマシュ博士は研究に勤しんでいる。(鈴木孝洋)
Tomasz “Tomek” M. RUTKOWSKI, PhD
筑波大学 生命領域学際研究センター 講師 理化学研究所 脳科学総合研究センター 客員研究員