苦いピーマンは大人の味
ピーマンは、その愛らしい外見とは裏腹な「苦み」が特徴です。
これまで、この苦味成分が何なのか誰も知りませんでしたが、2012年3月、ついにその正体が明らかになったのです。
「苦くない」ピーマンが開発されたことにより、一般的な 「苦い」ピーマンと成分の違いを比べることが可能になったことが転換点でした。
一般的なピーマンには含まれているけれど「苦くない」ピーマンには含まれていない成分を特定することができれば、それが苦みのもととなる成分である可能性が高いのです。
調べた結果、苦み成分として候補にあがったのがポリフェノール類の「クエルシトリン」でした。
ポリフェノール類は、さまざまな植物に含まれており、渋みや苦味のある化合物です。
しかし、驚いたことに、クエルシトリン自体をなめてみても、かすかな渋味や、口の中の味覚神経がきゅっと縮むような感覚になる収斂味を感じる程度で、苦くはなかったのです。
ピーマンの苦味を生み出すカギは、香り成分「ピラジン」が握っていました。
ピーマンを口にいれると、クエルシトリンによって感じる苦味と、鼻から入ったピラジンの香りを感じ、両方の刺激が脳で統合されることではじめて、ピーマンを「苦い」と感じるのです。
鼻をつまんでピーマンを食べると苦味を感じにくくなります。
小さい子どもは本能的に苦味のある食べ物を嫌います。
それは、苦味は食べ物が有毒かどうかを判定するための指標だから。
一方、大人は経験により食べ物の危険性を見分けます。苦さの魅力がわかるようになったら、それは、あなたが少し大人に近づいたということ。
ピーマンの苦味をいろんな料理のアクセントに加えて、楽しんでみてください。