温度を上げて、ウイルス撃退

温度を上げて、ウイルス撃退

突然、38~40°Cの高熱が出るのが特徴のインフルエンザ。
原因となるウイルスは、普通の風邪の場合と種類が異なり、冬に猛威を振るうことで知られています。
彼らの感染から 身を守るための工夫として、部屋の「空気」に注目してみましょう。

1日で100万倍に増える!

virusインフルエンザウイルスは、直径100nm(ナノメートル、1nm=100万分の1mm)の球形で、脂質でできた膜を持っています。
ウイルスが人の体内に侵入すると、ウイルスの膜表面にある「赤血球凝集素」という突起が細胞表面のレセプターと結合し、細胞内に取り込まれます。
そして、細胞内で新たなウイルスがつくられ、細胞の外へ飛び出していくことをくり返し、感染が広がっていくのです。
口や鼻から侵入し細胞内に取り込まれたウイルスは、8時間後には約100倍、1日で約100万倍に増えるといわれるほど、驚異的な存在です。

ウイルスは湿気が苦手

ウイルスたちは、空気中を浮遊したり、物体の表面に付着したりして、感染するチャンスをうかがっています。
ドアの取っ手やテーブルの表面などで2時間以上、生存できるということが知られています。
暖房の効いた部屋では、特に感染するリスクが高くなります。空気の入れ換えがなくウイルスが空気中に長く滞在することと、空気が乾燥していることが原因です。
ウイルスには、増殖するのに最適な湿度があります。
空気中の水蒸気量が5g/m3以下になると、空気中に飛散したウイルスの6時間後の生存率が50%になるといわれています。
外出中や、暖房をつけていないときも注意が必要です。
気温が低くなると、大気中に含まれる水蒸気量が少なくなる、つまり、湿度が低くなるのです。
インフルエンザ予防のための基準として、冬期の学校の室内湿度は50~70%とされているところ、最近の東京では、冬の日の最小湿度が10%台であることも多いそう。
私たちのいる環境は、ウイルスにとって好都合なのですね。湿度をコントロールして、我がもの顔に振舞うウイルスを撃退しましょう。