腸の元気は身体の元気
私たちのからだは、私たちが守らなきゃ!と思っていませんか。
じつは、私たちのからだは小さな小さな生き物たちによっても守られています。
そして、彼らの棲む「腸」の環境が、からだ全体に大きな影響を及ぼすことがわかっています。
腸には100兆の味方がいる!
腸の内側の表面を覆う「腸管上皮細胞」は、外界からやってくる栄養分、異物、病原菌などを認識し、対応しています。
有害な異物や病原菌などに対しては、それらが体内に入るのを防ぐバリアの役割をしたり、上皮細胞が受けた情報を基底膜細胞に伝達し、生理活性物質の分泌を促したりします。
それらの機能に加え、私たちの腸内には500~1000種類、100兆個もの細菌が常時存在するといわれています。
そのうち、人の健康維持に貢献する「善玉菌」のひとつが「乳酸菌」です。
乳酸菌が産生した乳酸が腸内のpHを下げ、悪玉菌や病原菌が生きにくい環境をつくるのです。
乳酸菌でインフルエンザ予防
2011年に発表された研究では、乳酸菌にインフルエンザウイルス感染防御作用があることがわかりました。
特定の乳酸菌を与えたマウスにウイルスを感染させたところ、乳酸菌を与えていないマウスと比べて、肺のウイルス数の増加が抑えられていたのです。
乳酸菌が働きかけていたのは、ナチュラルキラー(NK)細胞です。
白血球の一種で、これが元気に働き始めるとウイルスに感染した細胞を排除します。
マウス体内でのNK細胞の活性を調べてみると、乳酸菌を与えていた方のNK細胞がより活性化していることがわかりました。
また、感染したウイルスを排除するためにつくられる「サイトカイン」というタンパク質が過剰に分泌されて炎症などが引き起こされるのを、抑制していることもわかりました。
乳酸菌が出す物質が、腸にある免疫細胞に働きかけているのです。
腸管で働く免疫細胞や抗体の数は、免疫系全体の50%以上を占めています。
腸を元気にすることが、からだ全体の元気につながるのです。