あなたの夢も丸見えに!? 神谷之康
脳信号から夢を解読(デコード)する
新学年がスタートし、張り切って勉強!と思ったそばから、授業中に居眠りなんてしていませんか。
「春眠暁を覚えず」ということわざがあるほど、春は眠り心地のよい季節ですよね。
今回は、睡眠につきものの「夢」に関する研究を紹介します。
これまで見た本人にしか分からないものだった夢の内容を解読することに初めて成功したというのです。
夢の内容を教えてくれたのは脳活動でした。目から入った画像情報は大脳視覚野の脳活動を引き起こします。
そのため、このとき生じる脳活動パターンを解読すれば、見ているものを推定できると考えられます。
ATR脳情報研究所では、血流量から脳の活動の活発な部分を画像化できる fMRI という装置を使い、3人の男性の睡眠中の脳活動を計測しました。
同時に脳波をモニターし、夢見と強い関連があると知られている脳波のパターンが生じたタイミングで被験者を起こし、直前まで見ていた夢の内容を報告してもらいます。
報告を記録し、再び眠りにつかせる、という作業を約200回繰り返し、夢報告とそれに対応する脳活動データを大量に集めました。
これをもとに報告に現れる単語を抽出し、「本」や「車」など約20のカテゴリーに分け、夢報告を各カテゴリーの有無を示すデータに変換しました。
一方で各カテゴリーの一般的な画像を実際に見た時の脳活動パターンを調べ、そのパターンから、見ている物体を解読するコンピュータプログラムを作りました。
これを用いて睡眠中の脳活動を解析すると、一部のカテゴリーでは70%以上の高い確率で夢に現れる物体を解読することができたのです。
今回の方法を使って、夢だけでなく、想像・幻覚などを解読することによって精神疾患の診断に貢献することも期待されています。
あなたの見た夢や空想を、映画のように再生できる日も近いかもしれません。(瀬野 亜希)
参考:プレスリリース(PDF)