世界初!お天気情報から、 イネ遺伝子の働きを予測! 農業生物資源研究所
眠い目をこすりながらテレビをつけると、いつもの天気予報。
「今日の天気は晴れ、すごしやすい陽気でしょう!」さあ、出かけるか、と思うと不思議な予報が流れてきました。
「つづいて今日の水田予報です。関東の水田では○○遺伝子が活発になる予定です、そろそろ出穂の時期ですね!」
12月7日にアメリカの科学雑誌Cellに掲載された、日本の農業生物資源研究所の論文は、こんな未来を予感させる画期的な内容でした。
発表されたのは、風量、気温、湿度、日照、大気圧、降水量の数値と、田植え後の日数を入力する事で、その条件で育つ田んぼのイネの、葉の中の遺伝子の働き(発現)を予測する事ができるシステムです。
イネの葉では、17,616個もの遺伝子が発現し、イネの体や、光合成の調整をするタンパク質を作り出しています。
動けない植物が環境に合わせて姿を変えるため、葉の成長段階だけでなく、熱さや湿度、日照条件など回りの環境の違いによっても遺伝子発現は変化します。
今回の研究成果は、そのような複雑な環境をすべてひっくるめた上で、なんと葉で働く内の、98%(17,193個)にもおよぶ遺伝子発現を予測できるシステムなのです。
今回システムを作るために解析された品種は「日本晴れ」です。
日本でよく育てられている品種のデータも蓄積されれば水田の環境情報から、正確な出穂(実がつく穂ができる)時期を知る事が可能になります。
出穂時期が分かれば最適なタイミングで肥料をあげる事ができ、農家さんの負担も減らすことができます。
それ以外にも過去に冷害が起きた時に特徴的に発現が変化した遺伝子について調べることで、被害が起きる前に冷害の予兆を発見し、対処する事もできるかもしれません。
ラボで行われる遺伝子研究と実際の農業現場。
今回発表された研究は、この2つを大きく近づける力になるかもしれません!
136_121211SBN(参考):サイエンスブリッジニュースPDF版はこちらからダウンロード:壁新聞に最適です