スパコン TSUBAME で未来のくすりをつくる !? 東京工業大学

スパコン TSUBAME で未来のくすりをつくる !? 東京工業大学

病気に効く成分を探すのってすごく大変なんだ。
でも世界にはいろんな稀少な病気で苦しんでいる人がいっぱいいて、薬作りは待ったなしだ。
だからもっと効率的に有効成分を探すためにスーパーコンピュータの力を借りようと思うんだ。 

薬の元を見つけるのは大変

薬の元となる物質を探すのは、気の遠くなるような宝探しに似ています。
まず、体内で悪さをしているタンパク質を特定します。
次に、何十万種類もの化合物をそこに当てはめて、ぴったりはまるかどうかを試します。
薬が効果を発揮するのは、薬の成分である化合物とタンパク質が、カギとカギ穴のような関係で、しっかりとはまったとき。
これまでは、手探りでカギ穴にきちんとはまるカギを探していましたが、ちゃんと効果を発揮したのはほんの数個。
見つかっただけでも奇跡のようなものなのに、その後さらにたくさんの試験を重ね、患者さんに薬が届くのに10~20年かかると言われています。

スパコンの力で研究を加速

世の中にはまだ治療薬のない病気がたくさんあります。
少しでも速く新しい薬を開発するため、東京工業大学の関嶋さんは通常のパソコンの10万倍という桁外れの計算能力をもつスパコン
TSUBAMEを使って、薬の成分を探す研究に挑戦しています。
TSUBAMEは病気の原因となるタンパク質の詳細な立体構造を描き、そこにきちんとはまる化合物を何十万種類ものなかから探し出します。
スパコンを使うことで、たくさんの化合物を買ったり、たくさんの研究員が実験をしたりしなくて済むので、時間とお金の節約になります。
こうしてスパコンから見つけた薬の候補化合物を、人の手で合成し、実際に人に効果があるのかを試して、薬となります。

まだ薬のない病気のために

関嶋政和さんはスパコンの高い情報処理能力を使って、これまで薬が作られてこなかった熱帯病の患者さんたちに薬を届けるための研究をしています。
熱帯地域には、リーシュマニア症や眠り病、デング熱といった治療薬のない病気があります。
少しでも早く治療薬の候補物質が見つかるよう、懸命な努力が続けられています。

(文・髙崎まい)