"探す”ことが楽しくなる検索インターフェイス

青山学院大学理工学部経営システム工学科梶山朋子助教

例えば、デスクトップの壁紙を検索したいとき、「かっこいい」「楽しげな」など画像をイメージから探したいけど、入力する検索ワードに困ることがある。頭の中にあるぼんやりとした色や雰囲気を、上手に探し出すためにはどうしたらよいだろうか。

感覚的な検索手法「ファセット検索」

目的が明確な場合に使うのは、キーワード検索やカテゴリ検索だろう。これらに対し近年登場したのが、ファセット検索だ。複数の検索の切り口(ファセット)を組み合わせることで情報を閲覧できるため、探したい情報のイメージがぼんやりとしている場合に効果を発揮する。通販サイト『Amazon』がその典型例。一般的な図書館や本屋の検索システムでは、著者名や出版年月などのキーワードを入力する方法しかないが、Amazonではキーワードやカテゴリで情報を絞り込んだ後、このファセット検索が提供される。例えば、ユーザー評価、文庫本か雑誌等のフォーマット、配送オプション、価格などから検索条件として利用したい切り口を選ぶだけでコンテンツを絞り込める。

ヒントは星座早見表

このファセット検索をより感覚的に使えるようにしたのが、梶山さん。膨大な情報の中から自分の好みに近いものを直観的に検索できるインターフェイスを、星座早見表から思いついた。日時や方角が書かれたリングを重ね合わせると上空の星座が表示されるように、色や雰囲気等の検索軸を配置したリングを回転させると、リング内に検索結果がリアルタイムに現れる。このインターフェイスを植物データに適用した植物図鑑システムでは、503種類の植物に対し、花の色や葉の形などの7つの切り口を用意したことで、検索結果から未知の植物特徴を視覚的に捉えることができる。リング内の植物画像をドラッグし中心に再配置すれば、その特徴に合う検索条件へ自動的に修正される。 「感覚的に調べられるだけではなく、“探す”行為自体がとても楽しく感じられるようになります。」と、梶山さんは話す。講談社およびデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムと共同開発したアプリ検索アプ『WonderSearch』にも導入されている。 この技術は教育分野だけでなく、インテリアやファッション分野など、画像をイメージで探す際に活躍する技術になるだろう。今後は画像を探すだけでなく、レビューなどのテキストから抽出した感情を色彩化することで、コンテンツ利用者の印象を表現する画像(読後感を表現した書籍表紙画像など)の自動生成にも挑戦したいという。情報が溢れすぎている世の中で、いまの日本の若者にはこうした感覚的な検索インターフェイスは意外とウケるかもしれない。