学会は変われるか?日本分子生物学会2013年のチャレンジ
いよいよ明日、12月3日から、日本分子生物学会が神戸ポートアイランドでスタートする。バイオ系研究者の多くが所属する大きな学会で、今は続々と神戸にバイオ系研究者が集結しているものと思われる。
学会と聞いて、みなさんは何を期待していくだろうか?
私は海洋学会というマンモス学会に所属していた。参加者は物理もいれば化学もいて、私みたいなバイオもいる、というような広い分野の学会で、一度だけ発表の機会をいただいた。その後、日本海藻学会の国際大会に卒業前に一度聴講だけさせていただいた、という実績で、そこまで大きく分野もばらばらだと当時は誰に向かって話しているのかよくわからなかったのもあって、恥ずかしながら学会大好き研究者ではなかった。ドクター、ポスドクであれば人脈構築や研究実績にする、という大きな目的があるのだろうが、修士までだと、バリバリに実績をつくった人を除くとそんなものなのかもしれない。
しかし、今回そんな修士の学生でも楽しめそうな企画に、分子生物学会はチャレンジすると言う。
たとえば、
ケータイをつかった聴衆参加型ディスカッション with キャリアパス委員
パネルディスカッション中に携帯を使って意見を投稿、共有できるキャリアセミナーを行うらしい。
それから、
生命科学研究を考えるガチ議論
総合科学技術会議常任議員や元文部科学副大臣など、日本の科学政策に携わる人をパネリストに迎え、本音の議論をしてみよう、という試みだそう。
このタイトルだけ見ても、今まで「固い」というイメージだった学会のイメージを壊してくれそうだ。
年会長はこう語っている。
今年の年会は、「全員参加で作る学会」です。通常の学会は、年会長・プログラム委員等が集まって、学会を仕切り、参加者は彼らの意図した様に年会に参加する、というものです。まあ、それが普通です。しかし、SNSが当たり前のものとなった今、もっと違うやり方も可能なはず。すなわち、通常学会を仕切る偉いさんではなく、分生の会員すべてが年会の企画に参加し、あーだこーだ言い合って、自由に年会を作り上げていく。そういうことも可能なはずです。もしそれができたら、すごい学会になるはずだ。そう思いついたのが始まりでした。
分子生物学会は、初期には生命科学の1分野でしたが、現在はほぼ全ての分野を包含する大きな学会になっています。もちろん、学会の存在意義の第一は、アカデミックな情報発信の場であることには変わりありません。しかし、全ての分野の研究者が集う貴重な場であるからには、それ以外の「使い道」もたくさんあるはずです。分子生物学会にどのような未知の可能性が、ニーズがあるのか?
皆さんのアイデアを借りて、と言うよりも、学会員全員に企画段階から参加していただき、今までにない年会を作り上げたいと希望します。
分子生物学会HP http://www.aeplan.co.jp/mbsj2013/
学会は研究者のお祭り、ならばもっと付加価値を上げていこう、という挑戦なのだ。
確かに、研究者の世界は意外に型が重んじられることが多くないか。仮説があり、実験があり、結果が出たら論文を書き、学会で発表する。
発表内容もある意味型が決まっている、といえる。しかし、型にハマりすぎていては新しい発見やイノベーションを生めないことも事実だ。
研究者が従来の「型」をとりさって、でもまじめに本音を議論し合える場をこの学会でつくる、というなら大きな意味のあるチャレンジになるだろう。
明日からの学会で何が起こるか、結果が非常に楽しみだ。