世界の教育産業の全体像について頭に入れておこう。特に大学について。

世界の教育産業の全体像について頭に入れておこう。特に大学について。

三井物産戦略研究所から世界の教育産業の全体像 と題されたレポートが公開されています。

レポートのあらましは、今まで参入障壁があることから経済体系の一つとして分析されることが無かったこと。一方で、市場としては2011年に世界で4兆ドルに達し自動車産業を超える(!!!)規模であるということが起点となっているようだ。日本の教育は?世界の教育は?

世界の教育市場の概況

非常に興味深い分析が冒頭から登場する。

GDPと教育市場の関係

 

国民総生産と教育市場の大きさには相関があるのだそうな。

日本は中の中という感じであるが、2000年比での伸び率はたったの3.2%。この点に関してはアメリカで34.2%の伸び率、人口一人当たりの教育市場の大きさでもダントツであるというのはさすがである。次点が中国。

アメリカはもちろんなのだが、就業前の教育に重きが置かれている事が大きな要素だそうな。日本の場合は就職後に企業内で職能教育が行われるのでその部分が教育市場に反映されてこないとされている。

ということは、海外の企業に比べて日本の企業は教育費を負担しているという事になる。それはこれほどの開きを考えると、かなりの負担なのではないだろうか。経済界が大学に求めることと、大学の教育に乖離があるという事は前々から議論されていることではあるのだが、大学教育と就職の間にある乖離はそれほどまでに大きなものなのだろうか。大きなものであるなら、何故アメリカ等の国はやっていけるのだろうか。構造的な効率の悪さを内包しているような気がする。

世界の大学の学費

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アメリカがダントツである。特に私立大学。

高等教育に関しては、多くの国で国費でまかないきれなくなっているようだ。加えて授業料も増加傾向にある。優秀な教員を雇うにもコストがかかるため仕方がないと考えられるが、これはボーダレスな競争であると言えるだろう。優秀な教員というリソースは限られている。獲得競争に敗れたらどうなっていくだろうか。

留学の動向

気になる部分だと思う。

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受入国はアメリカがトップ。日本もそれなりに伸ばしている。

逆に、日本から留学へ行く学生の人数は3万8千人程度だ。

留学生の支払う授業料は自国民よりも高く設定される傾向があるようだ。

最後に、主要な要約については http://edtech-media.com より引用させていただこう

・多くの国では教育市場の増加率はGDPの増加率を上回っている。

・教育市場の成長の背景には、人口増加に加えて、高等教育を中心とする就学率の上昇がある

・2000年から2010年の間に、世界の高等教育への総就学率は19%から30%へ上昇した

・米国では教育市場が総額1兆1,330億ドル、人口一人当りで見ると3,631ドルと、総額においても一人当たりにおいても突出

・米国では2,000年から2011年の間、教育市場の増加率が34.2%

・人口1人あたりの教育市場規模は、スウェーデンやオーストラリアが米国に次ぐ水準

・韓国では、2000年から2011年の間、教育市場の増加率が93.5%と先進国の中では突出して高い

・日本は教育市場の規模では、米国、中国に次いで世界3位であるが、人口1人当りでみると、先進国中最低水準となっている。

・主要先進国では、就職する前にスキルを身につけておく必要性があることから、高等教育市場の場で職能教育が行われているのでに対し、日本では企業内での職能教育が主流となっており、教育市場の数値に表れてこないことが背景としてある。

・ユネスコ統計によると、2000年から2011年の間、義務教育を9年以上とする国は、2000の119カ国から2011年の143カ国へ増加している。

・新興国では2000年以降にも義務教育の制定や改正に関わる動きが目立つ

・インドでは2002年に6-14歳児の初等教育義務化、無償化へと憲法が改正され、2010年に施行

・ブラジルでは、2006年にそれまで8年間であった義務教育が9年間へ拡大され、トルコでは2012年に8年間の義務教育が12年間へ拡大されている

・アジアにおける塾・家庭教師サービスの利用など学校外の教育が、活発になっている

・アジアに特有である学校外の教育が、過去10年で欧州においても一つの市場を形成

・高等教育機関に在学している外国人学生は、2000年の210万人から2011年の430万人へほぼ倍増している