「大人慣れ」できない大学生

「大人慣れ」できない大学生

「ネット世界で大人慣れしない学生」

という記事を読んだ。就職活動期間が短縮され、ネットに頼る学生が急増しているため、

大人慣れしない段階で面接を受ける学生が増えている、というものだ。

大人慣れってなんだよ、ということだが、

なぜこの会社を志望したのだろう、と首をかしげたくなるような学生も増えた」と質の低下も招いたという。

という記述から、私は以下を想定した。

・最低限の挨拶やマナーがあるか

・自分のことがある程度理解できているか

・ビジネスの世界を理解した会話ができるか

→サービスや製品の一ファンとしての発言ではなく、「つくる地獄」を背負う覚悟がある

→長期的ビジョンと短期的ビジョンに基づいて行動することを理解している

→お客様視点を持つ意志がある              など

というのも、私はリバネスで採用窓口を担当しているわけだが、「教育ベンチャー」のイメージが強いからか、「子どもたちに実験教室をしたいんです」という視点だけでリバネスを志望する人はそれなりにいる。

でも、私達がやりたいことは、「教育事業」を拡大していくこと。現状の実験教室を回せる人は採りたいわけではない。そのためには全員で資金を調達するし、全員で次の一歩のためのしかけをつくらなくてはならない。

「子どもたちに実験教室を届けたい」その気持ち自体は悪いことではないので、そういう人にはインターンシップで「ビジネスとして教育事業」を担う経験をすることをおすすめしている。そこで「実験教室」を行うことでどのように社会を変えていくのかや自分のやっていることの本当の意味での社会的意義を考えることになるので、長期的な視点や資金や時間、と言った視点も含めてマネジメントを実践できる。

そこまでして、社会的なニーズや自分の本当の夢が定まる。そして必要とされる自分になれる。そこではじめて自分の夢を「入社」して実現させるか、「他のところ」へ行くかの選択肢が生まれるのではないかと思っている。

「やりたいことを実現させましょう」と言ってキャリア教育をやることが多いと思うが、それだけでは不十分だ、と私は思う。

「やりたいこと」ができたら、それがどう「社会に求められるのか」あるいは「社会に求められるものになるか」を試行錯誤して明確にしていくことができてはじめて「やりたいこと」は実現できるし、それは本当の意味での「やりたいこと」になるのではないだろうか。ひとりよがりの「夢」は子どもが「大きくなったらお花屋さんになりたい」というのと同じだ。

それが「大人」ってことなのではないか。

もちろん大人だって10年先の自分が見えています、という人は少ないと思うが、

ある程度の覚悟が定まったからその組織の仲間入りをできているはずで、経験を積めば積むほどその覚悟は明確になっていくものだろう。本当の意味で「社会のために」戦っている大人と対等に話ができる人。それが「大人慣れ」している人だ。

ネット社会の弊害がこの記事では言われているが、学生が「大人を知る」機会は「就職活動」だけではないはず。いろんなチャンスを活かしながら大人になっていってほしいと思う。