続・すげーリアルな研究留学ブログをみつけた件
あまりにもリアルなので前回のエントリで紹介したブログのお話をもうちょっと。
日本のポスドク問題について言及してます。
以下のエントリ、興味深い。
大学教員になるプロセスを日米で比較したら見えてきたポスドク問題
USでの大学教員になるためtipsの話から始まるのだけど、なるほど制度と実質の問題ってリンクするよねって話。
USでは”how to get a PI job”みたいなweb記事よく見かけるけど、日本版は中々ないですよね。
それってこんな制度上の違いがあるからじゃね?なんてまとめ。
USでの新任助教選考プロセス
1.選考プロセスの違い
アメリカは大学教員すなわちAssistant professorの雇用はたいてい決められた手順がある。
極端なこといえば、大学受験のような決められた手順があって、対策をたてることができる。
日本の大学院にいて助教選考プロセスってわかりますかね?
USの大学院で博士課程にいた人なら、USでの選考プロセスは大体わかります。
それは学生が助教の選考プロセスに密接に関わるから。
書類審査委を通った何人かの候補は大体以下のようなことを2日かけてします。
1.研究セミナー(これはオープン・学生用のセミナーとしても使う)
2.学部の教授陣とのディスカッションを延々と(1人30min~1hourで何人もとする)
3.学生とのランチディスカッション
4.教授陣とのディナー
5.チョークトーク(ホワイトボードをつかうだけのかなり激しいディスカッション)
この1.と3.での印象を学生側は教授に報告したりします。
研究業績上は凄い優秀なんだけど、ランチの時に「感じ悪いやつ」とかは学生側から「あいつはやだ」とちゃんと言います。
うちのボスも同僚としての性格とかに重きを置いていました。
書類審査通った時点である程度の業績はあげている人なので、案外職探しの決めては愛称だよねという総意。
USと日本、ポスドク待遇の違いで見えたこと
2.ポスドクの待遇の違い
これは、実は盲点だと思うんだけども、日米ではポスドクの待遇が違う。給与待遇ではない待遇。
それは、原則として日本のポスドクは自らの研究費を申請獲得できるが、アメリカのポスドクはできないということ。
…
自ら研究費を獲得できないのだから、誰かに雇用される形になる。つまり、自ら考えだした研究プロジェクトを自由に遂行することができない(建前上)。
なので、アメリカでは自分の好きな研究をしたくて研究者になった者達はなるだけ早くPIステータスを獲得したいと強く願う
なるほど、僕はポスドク経験なく企業に就職をしたのでわかりませんが、日本よりUSのポスドクは制度上の自由度がないのね。
自分の研究をするためにはラボを持つしかない。
そんでもって、ラボを持つハードルは日本より低い(と僕は思う)。
だって、講座制とかなくて、助教=研究室主催者だから。
さらにblog上では日本におけるアカデミックポジションとポスドクとの違いが曖昧であることにも言及しています。
現在の日本で特任助教という名の実質ポスドクや、任期付助教後のポスドクの多さは、単にアカデミックポジションが少ないという理由だけでなく、アカデミックポジションとポスドクポジションの実質的な違いが曖昧であることにも要因があるのではないだろうか?
博士号とったらみんな当然教授になりたがるもの(だから不遇の助教だって我慢出来るはず)なんていう固定観念を壊して、現実に即したキャリアステップを見つめなおす必要があるのではないかと思う。
ここで言う現実に即したキャリアステップって、企業でのキャリアパスな気が僕はします。
戦略的に企業へ出てからアカデミアに帰ったなんて人の話もちらほら聞いたことがあります。
まだまだ少数だとは思いますが。
とここまで考えて、まだまだ少数な「アカデミア↔企業なキャリアパス構築をもっと頑張らないといかん」と、お仕事上思ったのです。
その方がどう考えても人材流動して、人も鍛えられるし、ナレッジ共有も進むじゃない。