書評:人体探求の歴史-笹山-雄一

書評:人体探求の歴史-笹山-雄一

人体について学んだのは保健の授業以来だろうか。

本著は、眼、松果体、耳、鼻、心臓、血液、骨、肝臓、腎臓、秘蔵、肺、消化管、肛門、精巣、卵巣と15章で構成され、それぞれについてその語源を紐解き、機能性、他の臓器との関連性などをじっくりと説明していく。
ここだけを読むと難しいと敬遠されそうだが、本著の目次には「逆立ちしたまま牛乳が飲めるか」「切腹は本当にできるのか」「涙はやっぱり女性の武器」「「目玉おやじ」は見えているのか」「胃酸が胃を溶かさないわけ」等、言われてみれば確かに気になるといった類のタイトルが並ぶ。

これらのテーマは著者である笹山雄一が大学で教鞭をとる中で、意識してきた<普段なにげなく使っている体の部分の名称や、器官や臓器を表す「言葉の意味」と「新知見が得られるまでの経過を知りたい」という気持ち、すなわち、この人はどのように考えて、この実験に踏み切り、結果をどう解釈したのか、というストーリーを明らかにすること>で培われたエッセンスそのものである。

自らの身体について、トリビア的な内容を含めて易しい情報から最近の研究結果までを網羅的に記してある本著は、きっとあなたの知識欲を満たしてくれるだろう。

【必読ポイント!】 目次から興味の赴くままに読むべし

本著の中にはそれぞれの臓器について広範囲な情報が詰まっている。

世界初となる発見は何かという点が研究者の名前とともに紹介されているのだがそこを読めば、研究者が何をきっかけに人体に興味を持ち、どのような手法でその謎に迫っていったのかを知ることが出来るだろう。

過去の偉人が探求してきた歴史を紐解くことによって、新たな視点に目覚めることが出来る。これが本著の最大の魅力である。