ノアの方舟に乗せるべき生き物は?

ノアの方舟に乗せるべき生き物は?

皆さんはノアの方舟のお話をご存じでしょうか?

ノアの方舟とは、旧約聖書に出てくる話ですね。
堕落した人間に怒った神が、人間を滅ぼすために洪水をおこす。
その前に、真面目なノアさんは助けてあげるよとアドバイスをする。
船にはあらゆる動物を1ツガイずつ乗せといてよ、という話。

ちなみに、今同じような話があったら、みなさんどの生物を船に乗せます?
前提として、体積的に方舟に全世界の動物を乗せることは不可能であり、当然優先的に助けなければいけない生物が出てくるということで考えてください。
さしあたり、動物保護でまず思いつくのは、ライオンやパンダなんかじゃあないでしょうか?

でも実は助けるべき生物は他にいっぱいいるのを皆さんは知っていますか?

 

考慮すべきは多様性

以下”Tree of bird life could solve Noah's Ark problem“という記事を参考にまとめました。


基準は何?

まず生物を助ける時に何を基準にするかというと“生物の多様性”です。
どれだけ(遺伝子的に)バラエティーに富んだ生物達を維持できるかが重要。
つまり、進化的にユニークで古代から姿を変えていない生き物(例えばカモノハシなど)ほど優先的に保護する必要があり、ライオンなどネコ科の動物は近種が多いため優先度は低いとのことです。
現状の動物保護活動をノアの箱舟へのセレクションと例えるなら、果してこのような視点は加味されているのでしょうか?


実は人気どころが優先されている?

最近の動物保護活動の現状

Conservationists tend to focus on a few big-name species, like lions. For example, 70 per cent of mammal funding goes to three of 26 families, says Samuel Turvey of the Zoological Society of London (ZSL).

う~ん、中々生物の多様性という視点は反映されていないようですね。
哺乳類では26科いるうちのたったの3科(ネコ科など)に資金の70%が使われています。
理想は今までの保護活動を進めつつも、生物多様性も考慮して生物を保護することです。

“You could increase the amount of evolutionary diversity that is currently protected by 25 per cent by expanding the reserve system by 5 per cent,” says Laura Pollock of the University of Melbourne in Victoria, who led the study.

例えば保護区の面積を5%広げるだけで25%も保護効果が得られるとのことです。
活動資金はもちろん上がりますが、こんなやり方でも優先度の高い生物を今より多く救うことができるというわけです。


方舟に乗せるべき生物を乗せる為には?

冒頭の問いに話を戻します。
現代にノアの箱舟が出現したら、みなさんどの生物を乗せますか?

どうやらノアの方舟には生物多様性を考えて生物を乗せなければいけません。
でも乗せるにはもっとお金が必要で、ぶっちゃけどんどん資金を投入してノアの箱舟をデカくしてもよいですよね。
そんな柔軟な発想も見えてきます。

ただ現状は、箱舟に積まれるのは人間社会では人気だけれど、遺伝的には近い生物。
人気生物に資金が集まるのは避けられない道でもありますが、他にも優先的に保護しなければいけない生物がいることを多くの人に知ってもらう必要があると私は思います。
そして、それを一番効果的にディレクションできるのは現場の科学者なのではないでしょうか。

 

参考記事:http://www.newscientist.com/article/mg22129623.300-tree-of-bird-life-could-solve-noahs-ark-problem.html#.U0ARlvl_uSr