iPhone 50は絹で出来てるんじゃね?
3月に仕事でボストンへ行く機会がありました。
そこで、タフツ大学の教授、Dr. Fiorenzo Omenettoに会ってきたのです。
たまたま前年の六本木ヒルズのセミナーシリーズで、彼の「iphone 50は絹で出来てるんじゃね?」という刺激的な話を聞いて、研究室訪問するしかないなとアポとった次第。
今日は、彼の紹介と、訪問に至った経緯をお届け。
「Fiorenzo Omenetto?え、誰?」なんてそこのあなた、まずは下のTED talkを見ておくんなまし。
2011年のTEDでのDr.Omenettoのプレゼン”Silk, the ancient material of the future“より
トークの中でこんな風に絹の可能性を提示しています。
This material actually has some traits that make it seem almost too good to be true. It's sustainable; it's a sustainable material that is processed all in water and at room temperature — and is biodegradable with a clock, so you can watch it dissolve instantaneously in a glass of water or have it stable for years. It's edible; it's implantable in the human body without causing any immune response. It actually gets reintegrated in the body. And it's technological, so it can do things like microelectronics, and maybe photonics do.
意訳:
シルクってのはマジかよ!ってくらい優れています。サステイナブルで、常温の水中(水に溶けるってことだと思う)でプロセスできます。それから、生分解性で、水の中にさっと溶けたり、逆に何年も安定的に保存することもできます。んでもって、食べられます。人間の体に免疫反応を起こすことなく、埋め込むことが出来ます。先端テクノロジーに利用も可能です。エレクトロ二クスや光学分野でも利用可能です。
いや、ほんとワクワクするエンジニアリングだと思うんです、これ。
ヒルズで聞いた絹製iPhoneという未来
冒頭にも触れましたが、彼に出会ったのは六本木ヒルズのセミナー。
MITメディアラボのDr. Neri Oxman と2人でトークセッションしたんですね。
テーマがあったわけではない無軌道な話だったように記憶してますが、二人とも話が抜群に面白かったのです(Neriさんの話はまた別の機会に)。
上のTED TALKを見てもらえば一目瞭然ですが、Fioさんがやっているのは絹を材料にした様々なアプリケーションの創造。
例えば、絹の血管とか、レンズとか、ホログラムとか、骨の代用のボルトとか、導電物を付加して電子基板にしたりとか、絹さえあればなんでも創れるって感じです。
「iPhone 50は絹で出来てるんじゃね?」という話にしても、液晶だって、プラスチック部分だって、導電体プリントすれば回路部も、何から何までいけそうです。
さらに、「人間は絹を消化できるから、iPhone 50sが出たら前の機種の50は食べちゃえばいい」とか言うとるし(半分ユーモア、半分マジな発言かと)。
シンプルで身近で、且つdegradableな「絹」というマテリアルに、こんなにも応用可能性があるというところで、衝撃うけたのでした。
で、僕は思いました。
この人の研究室見てみたいと。
シンプルに話をもっと聞いてみたいなと。
出来れば、実際のサンプルとか手に取ってみたいなと。
なんで絹を選んだの?とか、どっから絹でiPhoneとかいう発想でたの?とか、聞きたいことが結構出てきたのです。
というわけで、セッションの後にちょっと話をして、「是非ラボ訪問させてよ!」と依頼。
快く快諾となり、研究室訪問が叶ったのでした。
そんな訪問記はまた次回に。