いつからアメリカのシードアクセラレーターはハードウェア関連に注目し始めたのか?

いつからアメリカのシードアクセラレーターはハードウェア関連に注目し始めたのか?

篠澤です。ビートルズで尊敬しているのはポール・マッカートニーです。
♪It's been a hard days night!(Tech Planterがやってきた、ヤァヤァヤァ!)

さて、今回はハードウェアのスタートアップのブームは来ているのか?について考えたいと思います。
そこで、まずは先行していると思われるアメリカのシードアクセラレーターが何を言っているのかを参考にしてみましょう。

Y Combinatorっていうのがあってね。

アメリカ・シリコンバレーで最も有名とおぼしきシードアクセラレーターはY Combinatorです。
Tech Planterのチーム内ではワイコンって読んでます。英語圏ならワイシーって呼ばれているそうな。
投資総額は$3Bにも及ぶと言われ、かつてDropboxやAirBnBなどを輩出しています。ってどれもwebサービスだろ!コラッ

代表者のポール・グレアムは超文筆家

そのYCを作った人がポール・グレアムというお方。Lispという言語をつくり、「ハッカーと画家」という本が有名だったり、インターネットでのECのプラットフォームとなるASPをつくってそれをYahooに売却してお金持ちになった人です。
YCを辞めるというようなことを既に発表しているのですが、その後やりたいことがなんと

「エッセイ業に集中したい」

ということですからびっくりです。

ポール・グレアムがハードウェアについて書いたエッセイ

で、そのポールがハードウェアについて書いたのは、2012年10月の記事、Hardware Renaissanceでした。
この記事の中では

And one of the most conspicuous trends in the last batch was the large number of hardware startups. Out of 84 companies, 7 were making hardware. On the whole they've done better than the companies that weren't.
最新のYCのバッチでは、ハードウェアのスタートアップの数が多かった。84社のうち、7社はハードウェアをつくっていた。ソフトウェアの会社よりもよくやっていた

とハードウェアの立ち上がりに好感を持っていることを述べ、

They've faced resistance from investors of course. Investors have a deep-seated bias against hardware. But investors' opinions are a trailing indicator.The best founders are better at seeing the future than the best investors, because the best founders are making it.
もちろん投資家から抵抗にあった。投資家はハードウェアに対して根深い先入観があるからだ。しかし、投資家の意見というものは、追跡指標だ(#注 何か起こったあとに変化する指標のこと)。最も優れた投資家よりも、起業家のほうが未来を見ることにたいして長けている。なぜなら、ファウンダー(起業家)は未来をつくっているからだ

と、ハードウェアのファウンダーを持ち上げる。
なんだよ、ミーハーかよ。と思われないように予防線を張る

One question I can answer is why hardware is suddenly cool. It always was cool. Physical things are great.
なぜハードウェアが突然クールだといわれるようになったか?には答えられる。それは、いつでもクールだからだ。フィジカルなものは素晴らしい

俺、前からハードウェア注目してたもんね!と言わんばかりである。
というわけで、YCからハードウェアに熱視線が注がれていたことは明白である。
しかもそれは2年前から。ITスタートアップ界隈からすれば”けっこう前”なのかもしれないが
ハードウェアのサイクルからすれば”比較的最近”に思う。

最後に、僕らは次のスティーブ・ジョブズの座が空いていることを知っている。
しかし、ほぼ確実に言えるのだが、第一の<あなたの名前がここに入る>の座もまた空席であるのだ。

photo credit: Mathieu Thouvenin via photopin cc