新しいモノづくりを導く,やわらかい発想 泉 知論

新しいモノづくりを導く,やわらかい発想 泉 知論

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理工学部 電子情報工学科 泉 知論 准教授
単元に関係するキーワード 情報の科学「論理演算と論理回路」,「コンピュータの仕組み」

コンピュータなどのハードウェアは,その形を変えずにソフトウェアによりさまざまな用途を果たします。これらの処理を行う頭脳のことをCPUと呼び,そこには多くの演算回路が組み込まれています。CPUの性能として表記される“Hz”という単位は1秒間に処理できる演算回数を表し,演算回路数×回数が計算能力になります。しかし,私たちがコンピュータを100%使いこなすことは難しく,たくさん積まれた複数種の演算回路はほとんど遊んでいる状態です。

理工学部 電子情報工学科 泉 知論 准教授

そこで,泉先生が研究する「やわらかいハードウェア」の登場です。何も物理的にやわらかいわけではありません。演算回路は通常どんな処理をするかが固定されていますが,そこにスイッチなどを加え,起動する際に読み込む「この演算回路は,この出力」というルールに従って,演算回路の内容を書き換えられるようにします。こうすることで,たとえば,「カメラの入力をもとに,ボールを追いかけて動く」など,ある機能に特化したハードウェアに変化させることができます。これにより不要な演算回路が減り,結果として電力消費量が減ります。実際1GHzのハードウェアでソフトウェアを動かしている場合と同程度の性能を,特化したハードウェアでは50MHz程度で実現でき,これは電力消費量にして実に数十分の1にもなります。世の中のロボットに「やわらかいハードウェア」が使われれば,使用電力総量ははるかに下がり,また小さな電力しか使えない場所でもロボットを動かせるようになります。環境負荷を考慮した未来指向の研究が,モノづくりのあり方も変えていくのです。

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研究室のモットーは「何でもつくり,何でも動かす」。小学生の頃からプログラミング講座を見てはノートに写し,オリジナルのものを大型量販店のパソコンで動かしていました。今でも,私の周りは,電子部品や工作道具であふれています。「具体的にどんな役に立つかはわからなくても,何か役に立ちそう,そしておもしろそう」ということに,自らつくり実現する研究者は楽しいですよ。