スマートロックで、新しい市場を開拓する 株式会社フォトシンス
スマートロックで、新しい市場を開拓する
株式会社フォトシンス
代表取締役社長河瀬航大さん
近年、もののインターネット(Internet of Things/IoT)が注目されるようになってきた。IoTでは今までネットワークに接続されていなかったものがインターネットに接続され、結果として私たちの生活に大きな変化をもたらす。今回取材を行ったのは、ドアの鍵をインターネットとつなぐ「スマートロック」のデバイスを開発している株式会社フォトシンス代表取締役社長河瀬航大さんだ。
スマートロックロボット「Akerun(アケルン)」
家の鍵を開けようにも、両手が荷物でふさがっていて、かばんの中のカギをなかなか取り出せない。そんな煩わしさを解消してくれるのが、鍵を自動で開閉するスマート
デバイス、鍵ロボット「Akerun」だ。スマートフォンが「Akerun」とBluetooth接続し認証することで鍵代わりとなり、ドア鍵を開け閉めしてくれる。現在、世界中のスタートアップがスマートロックの開発に挑戦しているが、ほとんどの製品はドアやサムターンをまるごと入れ替えるタイプのため、導入コストが跳ね上がる。「Akerun」の場合、デバイスをサムターンの上から覆いかぶせるように取り付ける後付けタイプである。スマートフォンで鍵を開閉するシステムは、すでに特許も出願済で大きな障壁となっている。既存の問題点をクリアして利便性を高めたことで、大手住宅メーカーや不動産会社、介護サービスなど様々な業種の企業との提携を進めている。
スマートロック構想のきっかけ
フォトシンスは、2014年頭からスマートロックの構想を練り始め、同年9月に創業した。しかしながら、このスピード感は自分たちでも予想外だったという。そもそも、今流行のIoTで何か製品を作ってみたい、という軽い気持ちで開発をスタートした。家の中を見渡して、まだハックされていない場所はどこなのか?と考えている最中に、たまたま施錠というテーマを見つけた。週末を利用し、数人のメンバーで集まって製品の構想を練り、原理モデルを作り上げていった。しかし、ちょっとしたきっかけで日経新聞に載ったことでメンバーの意識が変わった。「まだ、当時は予約も受け付けていないにも関わらず、多くの先行予約をいただきました。こんなにも多くの人が注目してくれるなら、会社にして本気でやってみようという話になったんです」と河瀬さんは話す。
ハードウェアのみならず様々なソフトウェアサービスを展開する
河瀬さん自身、元々ウェブ業界でやっていたバックグラウンドから、ハードウェアに対して特別な思いがある。「iPhoneを開発したAppleのように、ハードウェアが一つあるだけで、アプリや関連グッズなど様々なビジネスを展開することができる。これはソフトしか持たないビジネスではできないこと。3〜5年でスマートロックデバイスを広げ、そのハードを用いて新たな市場を開拓したいと思っています」。河瀬さんの見据える先にはIoTの新たな可能性が輝いている。