その研究に、風「孔」をあけます!〜身近で希少な有孔フィルム〜

その研究に、風「孔」をあけます!〜身近で希少な有孔フィルム〜

実は身近な有孔フィルム

納豆を食べるとき、納豆とパッケージの間にフィルムが挟まっていることは知っているだろう。これは納豆と付属のたれ等が直接触れないようにセパレートする役割のほか、納豆自体が乾燥し商品価値を失わないように保湿する役割で付けられている。このフィルムには納豆に生息する納豆菌を生存させるために無数の細かい孔が空いている。このような孔の空いたフィルムが「有孔フィルム」だ。テックインター株式会社では、納豆のような加工食品用の他にも、野菜や花卉と言った青果物用、各種工業用及び建材用といった、様々な場面でのニーズに対応する有孔フィルムを製造している企業である。砂川さんの父が1983年に設立し、事業転換を経てフィルム加工業を主事業とする会社だ。

20種の針と機械制御でお客様のニーズに応える

有孔フィルムは、機械で送られるシート状のフィルムに針で孔をあけるといういたってシンプルな製造方法でつくられる。同社では孔をあけるために使用される針を300度の高温で熱して、フィルムを溶かすように孔を空けるので、高速度毎分30〜70mという通常の数倍の製造効率を実現している。更に、針が押し当てられたフィルムを支えるための土台を ブラシ状にし、フィルムを貫通した針が土台に直接触れ摩耗したり欠けたりすることを防ぐ。このブラシをフィルムに押し当てる圧力を変え、フィルムを送る速度を調整する事で穴径の大きさを調整、また楕円状に穴を開けることも可能だ。現在、同社が持つ熱針ロールの種類は20種類。大概の求められるニーズには現在ある針型にて対応できるが、必要となれば新規の針型製作により、お客様の特異な仕様にも対応が可能となる。

社会背景と自身のキャリアを併せて生まれた同社の姿勢

砂川さん自身は大学を卒業後、同社に入社はあえてしなかったという。父からの勧めもあり、海外貿易、英語を含め一度サラリーマンとして勉強すると決め、大手電機メーカーに就職した。そこで海外実務をこなし営業手腕を身に付けたのち,2000年にテックインターに入社し父である社長のそばで経営と営業を学んだ。バブル崩壊という社会的背景に加え、実際に会社の営業、実務、経営と携わった経験の中で、「一つの取引先に依存した経営は危険だと感じた」という。現在、同社では大きく分けて「食品」「花卉」「工業」と3つの分野において、同程度の割合で売り上げを構成している。さらにこれらの分野内においても大口での取引のみならず、小口の取引を大事にしているという。「研究所の方からの相談も良く受けますよ」。本当に小さな規模の相談でも相談を受けること自体が自分たちの可能性を広げることにつながるから歓迎だ。「だいたいの相談は的外れになることはありません」。

製品実用化の試作用、実用途の検証用として様々な活用が考えられる。孔の径、厚み、素材などを伝えれば様々なものに対応できる。まずは相談してみるのはいかがだろうか?

|砂川寛志さんプロフィール|

大学卒業後、大手電機メーカーにて海外営業に携わる。テックインター株式会社へ2000年に入社、営業、製造の経験を積み、2005年より代表取締役に就任。現在、千葉県野田市に工場を持つ。従業員数10名。