リバネス研究費ソイミルク賞受賞者決定 長崎国際大学 薬学部 生化学研究室 三浦良子 訪問研究員
第22回リバネス研究費ソイミルク賞では、豆乳の機能性成分やその機能性が生体へ与える効果に関する研究について、募集しました。本賞に採択された長崎国際大学薬学部生化学研究室三浦良子訪問研究員の研究内容について紹介します。
研究テーマ:豆乳の乳酸菌生産物質(PS-B1)が示す非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の改善作用に関する研究
ソイミルク賞の応募経緯について
PS-B1の研究を行うにあたってご支援いただけるところを探していた際に、リバネス研究費ソイミルク賞の存在を知りました。豆乳の機能性成分やその機能性が生体へ与える効果に関する研究が対象テーマとなっていたことから、PS-B1が示す生理作用に興味を持っていただけるのではないかと考え、応募しました。
申請テーマについて
PS-B1は、Lactobacillus属を中心とした16種類のヒト常在乳酸菌による独自の複合培養法を介して調製した豆乳の乳酸菌発酵ろ液です。PS-B1には乳酸菌自体は含まれないことから、我々はPS-B1をバイオジェニックス(※)に位置づけています。PS-B1に関するこれまでの研究から、PS-B1がガン細胞増殖抑制作用、脂質代謝改善作用、アレルギー抑制作用などを示すことを明らかにしてきました。さらに最近の研究では、PS-B1が肝硬変や肝臓ガンの要因となるNASHの改善に対しても有効性を示す興味深いデータを得ています。そこで、本申請テーマではPS-B1が示すNASH改善作用について更に解析を進め、その作用機序の解明を図りたいと考えています。
研究費をどのように活かしていきたいか
今回の研究費を用いて、まずNASHモデルマウスを用いたPS-B1摂取実験を実施します。全マウスから回収した血液の生化学的検査や肝臓の病理的検査に基づき、PS-B1のNASH改善作用の特性を明らかにします。次いで、肝実質細胞の遺伝子発現や代謝経路に対するPS-B1の影響や腸内細菌叢の変動との相関を明らかにしていきます。最終的には、PS-B1に含まれる生理活性物質の同定実験に取り組みたいと考えています。本研究成果をこれまでに蓄積したPS-B1の肝保全作用に関する知見と併せることによって、PS-B1を「NASHのみならず広く肝疾患に対する予防・改善のために機能する新たな豆乳発酵飲料」として位置づけられることを期待しています。
※腸内細菌叢を介することなく、生体に対して直接的に作用する食品(または食品成分)であり、血圧降下作用、免疫賦活作用、コレステロール低下作用、整腸作用、抗腫瘍作用等を示す事例が報告されている。