リバネス生産技術研究所は、琉球大学および金城ミートと共に泡盛蒸留粕乳酸発酵飼料の研究を実施しました(平成28年度 産学官金共同研究スタートアップ支援事業)
リバネス生産技術研究所は、琉球大学および金城ミートと共に泡盛蒸留粕乳酸発酵飼料の研究を実施しました(平成28年度 産学官金共同研究スタートアップ支援事業)
株式会社リバネスは、琉球大学農学部 平良東紀教授、伊村嘉美准教授、農業生産法人有限会社金城ミートと共に平成28年度 産学官金共同研究スタートアップ支援事業に採択され、泡盛蒸留粕乳酸発酵飼料の豚への給餌試験を行いました。その結果、養豚に一般的に用いられている配合飼料を与えた場合と比較して、飼料費を約半分に削減の上、同等の成長性が確認されました。また、味覚の官能評価においては肉質の向上が認められ、さらに、豚の腸内細菌叢の改善効果(有害菌の低減)が確認されました。
【背景】
肉用豚の生産にかかる費用の6〜7割を餌代が占めているといわれており、その餌の原料のほとんどは海外からの輸入に頼っています。飼料原料であるトウモロコシや大豆等の穀物価格はこの10年間で約1.5倍に高騰しており、養豚業者の経営は厳しい状況にあります。沖縄県内においても経営難を理由に養豚農家数が減少しており、養豚業を持続的に営んでいくためには、飼料コストの削減は喫緊の課題であり急務といえます。そこで、飼料コスト削減に有効な地域の未利用資源に着目し、泡盛蒸留粕を発酵させた飼料(泡盛蒸留粕乳酸発酵飼料)を与えた豚(試験区)の成育速度(体重)、カロリー摂取量、罹病や下痢等の体調を定期的に調査し、一般的な配合飼料を与えた対照区と比較しました。また、試験区および対象区から糞便を回収し、次世代シーケンサーにより腸内細菌叢の解析を実施しました。
【結果】
未利用資源である泡盛蒸留粕を活用するとともに栄養バランスを適切に設計することで製造した泡盛蒸留粕乳酸発酵飼料は、一般的な配合飼料に比べ約半分の飼料コストを実現しました。この泡盛蒸留粕乳酸発酵飼料を与えた豚と一般的な配合飼料を与えた豚では、1日あたりの体重増加や飼料効率(豚の体重を1kg増やすのに必要な餌の量)に有意な差はなく、また両区の屠畜後のロース肉を分析した結果、試験区においてオレイン酸等の一価不飽和脂肪酸の増加が認められました。官能試験では、試験区のバラ肉の評価項目において「柔らかい」および「総合評価」で有意に高い結果が得られました。腸内細菌叢の分析においては、給餌1ヶ月後には試験区と対照区で細菌叢に明らかな違いが認められました。対照区に比べ、試験区では、一般的に有害菌とされる菌の減少が確認され、泡盛蒸留粕乳酸発酵飼料を与えることで豚腸内細菌叢が改善される可能性が示唆されました。
【成果】
本研究の成果は、地域の未利用資源である泡盛蒸留粕を有効利用することで、養豚業における生産コストの低減、さらに肉質等の改善による付加価値のあるブランド豚創出の可能性を明らかにしました。今後、リバネスでは沖縄に拠点を置く生産技術研究所で生産現場に導入するための技術研究を継続して実施するとともに、2016年11月に設立した関連会社株式会社福幸城ファーム(沖縄県那覇市、代表取締役 金城雄太)を通じて生産現場への実装を進めてまいります。持続可能な養豚業を目指し、生産や経営などに課題を感じている生産者の方は、ぜひリバネスまでお問い合わせください。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社リバネス 生産技術研究所
所長:金城 雄太
〒901-0152 沖縄県那覇市字小禄 390-102
Tel.: 098-996-1404 E-mail: [email protected]