【実施報告】「食と腸内環境から人の健康を考える」オンラインセミナー
株式会社リバネスは、株式会社ダイセル ヘルスケアSBUの協力のもと、1月14日(木)16:00〜17:00に「食と腸内環境から人の健康を考える」オンラインセミナーを開催しました。
本セミナーは、昨今重要性が増している食品成分の機能性と腸内細菌による代謝作用の影響、そして人の健康との繋がりを改めて考えることを目的としています。
■登壇者:
城西大学薬学部薬科学科 古旗 賢二 教授
東京大学大学院農学生命科学研究科 永田 宏次 教授
株式会社ダイセル ヘルスケアSBU 事業推進室事業戦略グループ マネージャー 卯川 裕一
株式会社リバネス 代表取締役副社長CTO 井上 浄(モデレーター)
セミナーの様子
城西大学の古旗教授は、ダイセル社との共同研究のなかで、ザクロに含まれる機能性成分であるエラグ酸が腸内で代謝されて生じる「ウロリチンA」の様々な生理活性を研究し、脂肪の増加抑制、骨吸収抑制、アレルギー抑制等の機能を発揮することを示しました。また、食品生物構造学を専門とする東京大学の永田教授は、黒ショウガに含まれるSIRT1遺伝子活性化成分の機能発揮の分子メカニズムを解明し、それを起点に同様の機能を発揮する別の分子が柑橘類果皮にも含まれることを発見。その研究プロセスを紹介いただきました。
パネルディスカッションでは、「からだに良い食とは何なのか」という純粋な問いについて議論を進めました。一般的には、健康のために栄養価の高い食品を多品種摂取することが良いとされています。ただ研究の結果から、食品成分そのものだけではなく、腸内細菌叢との関わりや、さらには代謝物の生成の有無が鍵になることが分かってきています。例えばダイセル社と古旗教授が共同研究する代謝物ウロリチンAをエラグ酸から生成できる人は50%ほど(ダイセル社調べ)であり、代謝に関与する腸内細菌を調べる方法にも期待が高まりました。また、これまで食品の機能性は腸管での吸収が前提になっていましたが、迷走神経の刺激により機能性を発揮する成分もあり、in vitroでの機能性評価手法をさらに発展させていく必要があります。
セミナーの最後には「未来の食」について議論し、オーダーメイド化された完全栄養食と自由な食事の組み合わせにより健康と満足を両立させるといった考えや、人のからだを複雑系として包括的に理解していくことへの期待が示されました。
セミナー全体を通して、食と腸、そして私たちの健康との間には未知の領域が数多くあり、これからも多様な研究が生まれていくことを確信できました。
視聴者からいただいたコメント(一部抜粋)
●腸内細菌自体についてではなく、腸内細菌の代謝産物に着目することが参考になりました。腸内細菌叢について着目して考えていましたが、体に影響を与えるという観点で考えるとたしかに代謝産物はとても重要なところだと思いました。(大学研究者 海洋分野)
●ポリフェノールなど吸収率の低い機能性成分でも消化管内の迷走神経を介した刺激で機能性を発揮するといったお話が興味深かったです。(大学研究者 農学分野)
●「菌に個人差がある」の正体(解釈)が、代謝物が生成できるか否かだったということが印象に残った。今までしっくりくる解釈がなかったが、とても納得できる内容であった。(食品系企業)
<若手研究者募集中>
若手研究者向け研究助成金「リバネス研究費ダイセルヘルスケア賞」
●応募締切:2021年1月31日
●テーマ:腸からヒトの健康を考える、あらゆる研究
●ウェブサイト:https://r.lne.st/2020/12/01/51th_daicel/
分野にかかわらず、食・代謝・腸内環境・腸内細菌・健康等のキーワードに興味があるかたは、ぜひご参加ください。
なお、株式会社ダイセルは、2021年3月に開催する第10回超異分野学会でもセッションを開催予定です。今後のリリースにご期待ください。
<まもなく演題〆切!超異分野学会>
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◎日時:2021年3月5日(金)・6日(土)
◎場所:コングレスクエア羽田(一部オンライン配信)
◎大会テーマ:変化・適応・進化
◎内容:基調講演、各セッション、ポスター発表
◎演題締め切り:2021年1月22日(火)AM10時)
◎WEB:https://hic.lne.st/conference/hic2021/
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<お問い合わせ>
株式会社リバネス 地域開発事業部 担当:秋永
e-mail : [email protected]