アグリテックの生産現場への普及を加速する「BeAGRIプロジェクト」発足、記者発表しました
株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:髙橋修一郎)の農林水産研究センターは、新たに「BeAGRIプロジェクト」を立ち上げたことを受け、2023年9月7日(木)、東京都新宿区のリバネス本社内で記者発表を実施しました。
「BeAGRIプロジェクト」は、「アグリテックを農の現場へ」を掲げ、アグリテック(農林畜産関連技術)の生産現場への普及を通じて、農林畜産分野における高齢化や担い手不足、気候変動に伴う生産力低下などの諸問題を解決することを目指します。
具体的な1歩として、プロジェクトの提携先である公益財団法人鯉淵学園 鯉淵学園農業栄養専門学校(以下、鯉淵学園)と共に、アグリテックベンチャーの技術実証を行う共同プロジェクトを推進し、次世代の食料生産を支えるアグリテックの社会実装を実現していきます。
当日は、登壇した3人により主に下記について発表を行いました。
・株式会社リバネス 代表取締役社長COO 髙橋 修一郎
ーリバネスにおけるこれまでのアグリテックの取り組み
ー「BeAGRIプロジェクト」について
ー鯉淵学園との連携について
・株式会社リバネス 農林水産研究センター センター長 宮内 陽介
ー「BeAGRIプロジェクト」で取り組む内容について
・鯉淵学園農業栄養専門学校 学園長 長谷川 量平
ー農と食に貢献できる人材を育てる鯉淵学園の取り組みについて
ーリバネスとの連携で期待することについて
⚫️「BeAGRIプロジェクト」の概要および今後展開予定のプロジェクトについては、以下の通りです。
1.リバネスにおけるアグリ事業のあゆみ
①2002年:リバネス設立
リバネスは、2002年の設立当時から、日本における食料自給率の低下や高齢化等による担い手の減少、生産者の所得低下等、深刻化する農林畜産業の課題を解決すべく、農学の修士・博士号を取得した研究人材を中心に、生産技術の研究開発や生産現場への導入、就農者の人材育成、生産物の販売促進支援を手掛けてきました。
②2007年:アグリを重点領域の一つとして定める
③2009年:冊子『BeAGRI』発刊
アグリテックを活用して地域の活性化を目指すために、冊子『BeAGRI』を発刊。以来、食料問題の解決が期待される植物工場や農作物残渣を活用したエコ飼料とオリジナル豚の研究開発・事業化、農商工連携人材の育成や中学高校における作物栽培研究プログラムの開発、飲食店舗を活用した農作物のマーケティング・営農支援など、数々のプロジェクトを推進してきました。
④2014年:「アグリテックグランプリ」立ち上げ
リバネスでは、2014年より、世界を変えたいという情熱をもつ研究者や研究開発型ベンチャーを発掘し、大手企業や地域中核企業、金融機関、自治体等とともに、地球規模の課題解決に資するビジネスにまで育てるエコシステム「TECH PLANTER」を、日本国内及び東南アジア6カ国(シンガポール、マレーシア、フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシア)で推進しています。
その中で、アグリ領域への参入者を増やし、テクノロジーによる農林畜産分野の課題解決を促進するために、アグリテックベンチャーの発掘育成に注力する「アグリテックグランプリ」を立ち上げ、これまでに発掘した344チームの起業家・研究者とともに、アグリテックの社会実装に取り組んでいます。
⑤2019年:子会社として株式会社アグリノーム研究所設立
これまでの活動を体系化し、さらに発展させるため、2019年に分野横断的な研究開発とアグリ系ベンチャーのインキュベーション機能を担う農林水産研究センター及びアグリデータ解析事業やサーキュラーエコノミー事業を手がける子会社・株式会社アグリノーム研究所を設立。研究開発機能の拡充や社会実装までの体制強化を図っています。
2.「BeAGRIプロジェクト」発足の経緯
多くのベンチャーや生産者とともに技術導入に取り組むなかで、開発された技術と生産現場の間にはギャップが存在することが明らかになってきました。このギャップとは、「現場を想定して開発した技術」と「ユーザーが現場で求めているもの」が合致していないということを指します。このギャップを解消しなければ、現場への技術の普及のスピードが鈍くなり、ひいては担い手の減少が著しい農林水産業の改善には繋がりにくくなります。
このギャップが生まれる背景の要因には以下が考えられます。
・開発者側が一次情報にリーチしにくいため、ソリューションの精度が低いこと
・実際に課題解決に寄与する技術か否かを実証する場が不足していること
・消費者に対する生産物の付加価値が不明瞭であること など
上記の要因を解消し、技術を現場に普及するためには、実際に生産を行っている生産者の目線に立った技術開発と技術を活用する人材の育成、そして、生産物が購買され消費者の口に入るまでの一連のプロセスを理解した事業設計が重要となります。
そこで、このたび、リバネス農林水産研究センターは、生産現場のニーズに即した技術開発と、消費者に対する生産物の付加価値向上を図るためのテストマーケティング機能を備えた実証フィールドを開設し、アグリテックの社会実装を加速する「BeAGRIプロジェクト」を立ち上げました。BeAGRIプロジェクトでは、農林畜産現場や加工場、販売店舗、流通網などを保有する組織団体と提携し、ベンチャーの技術導入から生産物の試験販売、商品開発、流通開拓までを一気通貫で支援できる体制を構築します。
3.鯉淵学園との提携でアグリテックの社会実装の加速を目指す
BeAGRIプロジェクトの第1弾の取り組みとして、2023年7月1日に鯉淵学園と、農林水産分野の課題解決を目指した技術開発と人材育成を行う協定を締結しました。鯉淵学園は、圃場や果樹園、加工場、販売店舗等の設備機能や卒業生を中心とする全国(全世界)6,500名の生産者ネットワークを有する農と食の専門学校です。鯉淵学園の設備機能やネットワークを活用することで、技術と生産現場をつなぎ、ベンチャーの技術導入から生産物の試験販売、商品開発、流通開拓までバリューチェーン全体を俯瞰し、アグリテックの社会実装の加速を目指します。
また、鯉淵学園は「新鮮で安心な農畜作物を生産・流通して届けるプロフェッショナル」「乳幼児から老人まで全ての人の健康を毎日おいしく支える食を提供するプロフェッショナル」を育成しています。そのため、鯉淵学園との連携により、アグリテックを使いこなす次世代の農業人材の育成にも取り組みます。
4.今後について〜アグリテックベンチャーとの共同プロジェクトを推進
BeAGRIプロジェクトでは、鯉淵学園との提携を受け、今後、ベンチャー3社との共同プロジェクトを実施していきます。
◯株式会社KAKAXI
事業内容:ソーラーパネル充電で稼働し、遠隔地のモニタリングに特化したIoTデバイス「KAKAXI」により、様々な自然環境や農地のモニタリングとデータ解析事業を展開。
本プロジェクトでの取り組み:鯉淵学園の圃場やハウスなどにKAKAXIを設置し、得られた気温、日射量、画像データを基に栽培時の状況把握と生育評価を行います。
◯株式会社グリーンエース
事業内容:色や香り、栄養成分を保持したまま農産物を粉末化する技術を軸に、農産物アップサイクル事業を展開。
本プロジェクトでの取り組み:鯉淵学園で発生する「味は良いものの、見た目が悪いため販売に適さない野菜」をグリーンエースの技術を用いてパウダー化します。直売所で販売も行い、野菜パウダーの活用可能性を検証します。
◯Anihan Technologies, Inc.
事業内容:IoTデバイスを活用したハウス内生育環境及び収穫作物の腐敗・保存品質モニタリングに取り組むフィリピンのデ・ラ・サール大学発ベンチャー企業。
本プロジェクトでの取り組み:鯉淵学園内のハウス「ふくろうファーム」に機器を設置し、気温、湿度、光量、CO2濃度のモニタリングを行います。得られた栽培環境データを基に効率的なレタスなどの葉物栽培の管理方法の検討や今後、機器に追加したいセンサーの要望についてヒアリングも行います。
第一弾としての鯉淵学園との連携、それに続く上記3社との共同プロジェクトを推進し、「BeAGRIプロジェクト」は農林畜産分野における諸問題の解決に取り組んでいきます。
【ご参考】 |
<「BeAGRI」ネーミングについて> 存在を示す「Be」と「Agriculture(農業)」を表し、「新しい農業を創造する」という想いを込めています。 <リバネス農林水産研究センターについて> |
<本件に関する問合せ先>
株式会社リバネス 川名・宮内
TEL:03-5227-4198 E-mail:[email protected]