KMLx2024実施報告_アカデミックセッション

KMLx2024実施報告_アカデミックセッション

2024年6月14日にベルサール御成門タワー4階ホールにて、グローバルリーダーが「対話」し、新たな概念形成に挑む「Knowledge Manufacturing Leaders X(KMLx)」を開催しました。

アカデミックセッション『「生命」とはなにかを考える – Concept of Life 』では、10代から20代の若き研究者と東京大学の専門家チーム「UT7(次世代生命概念創出研究グループ​​)」が、「生命とは何か」という根源的な問いをテーマに、世代と専門分野の垣根を越えた熱い対話を繰り広げました。

<セッション概要>

アカデミックセッション:「生命」とはなにかを考える – Concept of Life –
ファシリテーター:株式会社リバネス 井上 浄 ・ 松原 尚子

五十嵐圭日子氏を始めとする東京大学の「UT7」のメンバーである野地博行氏・田端和仁氏の3名と、中学生から大学生 まで幅広い年齢層の研究員が在籍し最先端の科学研究を行う「ADvance Lab」の研究者、そしてリバネスの代表取締役社長CCOの井上 浄が「生命とはなにか」をテーマに対話します。

当日のディスカッション概要

本セッションは、単なる講義形式ではなく、円卓会議のような形式で、登壇者と会場が一体となって新しい概念を模索する「対話」の場として設計しました。当日、登壇者と共に対話された内容は以下の通りです。

1. 「生命とはなにか?」次世代研究者たちの多様な視点

10代の研究員たちからは、それぞれのパッションに基づく研究活動から、独自の生命観が提示されました。

  • 宇宙と閉鎖生態系の研究から:月面での生活を見据え、微細な微生物からコンクリートに至るまでを循環システムとして捉える視点。生命を「秩序ある安定した流れ」と定義しました。
  • ロボットと生命の境界の研究から: ロボット制作を通じて、生命の精巧な動きや適応能力を再認識。将来的にアクチュエータ(駆動装置)と生命が融合し、「地球とコミュニケーションする」存在としての可能性が語られました。
  • 音楽と物理学の接点を追う研究から: バイオリンの弦が奏でる「非線形振動」の研究を通じ、生命の持つ複雑なリズムやエネルギーのゆらぎを科学的に分析する試みが紹介されました。

2. アカデミア(UT7)の専門的知見との融合

東京大学の教授陣は、歴史的・科学的な背景を交えつつ、若手のアイデアを深掘りしました。

  • シュレディンガーの問い: 20世紀に物理学の視点から生命が語られ始めた歴史を振り返り、現代は「生命をゼロから作り直す」テクノロジーの時代へと移行していることが指摘されました。
  • 自己複製と進化: 生命の最小条件として「自己複製」と、それに伴うエラーによる「進化」を挙げ、それがDNAという媒体を超えても成立し得るという仮説が議論されました。
  • 菌類(キノコ)が司る地球: 地球上のバイオマスを分解・制御する菌類の役割に注目し、個体としての生命ではなく、地球全体を一つの巨大な生命系(マクロな生命観)として捉える視点が提示されました。

3. キーワードは「進化し続けるシステム」と「概念の拡張」

対話を通じて、近い将来、生命とは単なる「生物」を指すのではなく、「自己複製し、進化し続けるテクノロジーやシステム全体」へと概念を拡張するという新たな方向性が見出されました。

今後、このような「対話の場」を常設し、より多くの人々が「生命」について自由に議論し、実験できるオープンなコミュニティを形成していく予定です。

 

UT7とは http://ut7.t.u-tokyo.ac.jp/
UT7(次世代生命概念創出研究グループ)は新しい「生命の概念」をつくり出すことをミッションに、生命と生活にかかわるあらゆる領域を横断しながら研究活動を行っています。

AvanceD Labとは https://adlab.lne.st/
次世代が世界を変える研究を一番早く取り組める研究所を目指し、2023年 8月に設立されました。現在は第1期生20 名が在籍し、最先端の科学研究やワークショップ、研究発表イベントの運営及び参加、学生・生徒による共同研究を行っています