【読物・募集】NPOの立場から心の引き出しをつくり世界を広げよう(vol.20)
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研究者の成果を社会に活かすためにNPOを立ち上げ、2014年2月に世界希少・難治性疾患の日、「RareDisease Day(RDD)2014」の主催を行うNPO法人知的財産研究推進機構(PRIPTokyo)理事 西村由希子さんに、科学を志す中高生のみなさんへのメッセージをお伺いしました。
実は身近な病気
希少・難治性疾患と聞くとどのような病気を思い浮かべるでしょうか。これらは「症例が少ない」、または「治りにくい重篤」な病気です。「ミトコンドリア病」、「パーキンソン病」、狂牛病で有名な「クロイツフェルト・ヤコブ病」などがあります。アメリカの国立衛生研究所(NIH)に2013年1月現在登録されている希少疾患は約6,400種類であり、難治性疾患を加えると総数は7,000種類を超えると言われています。遺伝性疾患だけでなく、成長してから発症する病気もあるため、誰にとっても他人事とは言えないものなのです。一方、個々の病気の患者数は少ないため、「がん」のような有名な病気と比べると知っている人も少ないでしょう。認知度の少なさと症例の少なさが相まって、なかなか治療診断のための研究や新薬開発が進まないのが現状です。
研究者と患者は、互いに希望の光になれる
希少・難治性疾患について研究支援の立場から理解を広げようと動いている人がいます。西村さんは、研究者の知的成果を社会に活かすための支援を行うNPO法人PRIPTokyoを行っています。希少性・難治性疾患への興味をもったのは2004年の薬事法改正の時。これらの病気に対する創薬ベンチャーが増えると見越し、希少性・難治性疾患に対する薬に関する認可制度や支援体制にスポットをあてはじめました。 それから4年後、ある国際会議に参加した時に衝撃を受けました。その会議は基礎・臨床系研究者だけではなく、患者やその家族も参加できるものでした。「会場で始めて患者と出会い、研究の先に『患者』がいるという当たり前の感覚が抜け落ちていたことに気が付きました」。と西村さんは語ります。この衝撃は、支援を行ってきた研究者にとっても「長い研究生活の先に、結果を望む人がいる」というモチベーションの向上に繋がり、また患者にとっても「病気を治そうとしてくれている人がいる」という希望をもつきっかけになったようでした。もっとお互いが出会い、知り合える場をつくろう。そう考えて治療診断のための研究や新薬開発が進まない国内外の患者会を回って信頼関係を築き、研究者と患者が集まる研究会や国際会議開催しました。そして、2010年から、より多くの人に希少・難治性疾患について知ってもらおうと開始したのがRDDです。初年度の参加者は300人でしたが、昨年は全国で3000人を超すまでの大きなイベントに成長しました。
将来、医療貢献を志す中高生へ
イベントに参加した患者が話した「目が悪い人が眼鏡をかけるように、私達は病気であり、薬を飲んでいるだけなのです」という言葉が西村さんの心に強く残っています。「これらは閉ざされた特別な病気ではなく、風邪やがんなどと同じ1つの病気。誰にでも起こりうるものだからこそ、普段から多くの方のつながりを作り、互いに理解できる環境を作ることが重要です」と西村さんは語ります。 「未来の研究者になる中高生には気軽に普段接点をもたない場へ出かけてほしいと思います。そこで出来た心の引き出しが、将来の研究動機を生み、新しい研究で世界を変えることにつながるかもしれません」。西村さんは今日も世界を変える「つながり」のきっかけを作り続けています。
世界希少・難治性疾患の日、「Rare Disease Day 2014」へ参加しよう!希少・難治性疾患を共通のテーマとし、日本中から様々なバックグラウンドをもった人たちが集まりつながります。多くの出会いとディスカッションで広く疾患に対しての理解を深め、さらに社会を変える未来研究者の研究動機が生まれる場になるかもしれません。ぜひ医療系だけでなく、基礎研究者を志す生徒の皆様にもご紹介ください。 |
Rare Disease Day2014(世界希少・難治性疾患の日)開催日時:2014年2月28日(金)9:00〜21:00開催場所(予定):丸ノ内OAZO 1F ◯◯広場(おおひろば)企画内容(予定含む)●希少、難治性疾患の患者様の経験、気持ちを直接聞くプログラム●希少・難治性疾患のパネル展示●未来の研究者高校生と国の政策を決める厚生労働省職員とのパネルディスカッション●希少・難治性疾患関連の本や映画紹介本●地方、海外連携企画 等
主催:特定非営利活動法人 知的財産研究推進機構 (PRIPTokyo) 後援:厚生労働省、日本製薬工業協会、国内当該疾患患者協議会等 |