研究にかける情熱をもって、 学生にきっかけを与えたい ~ 大学第一世代への後押し vol.2

研究にかける情熱をもって、 学生にきっかけを与えたい ~ 大学第一世代への後押し vol.2

(*このインタビューは2010年夏、筆者がライト州立大学を訪問した時の取材を元に書かれています。原文は『incu-be』10号p8-9から抜粋)

Dominiqueさんは、博士号を有機化学分野で取得した。コーディネータとしてこの仕事に関わる中で、自分の大学院での経験をセミナーで話したり、研究費申請書の書き方を学生に教えたり、学生の研究計画にアドバイスをしたりもしている。そんな彼女も、学部生の頃、夏デンにある企業の研究所休みを利用してスウェーでインターンとして働いた経験がある。そのとき研究アシスタントとして働いたことがきっかけで、研究職に興味が湧いた。その後、大学に戻り研究アシスタントとしてラボに所属し、研究を続けた。そんな自分自身の経験と、研究が大好きな想いから、その楽しさをたくさんの学生に知ってほしいと願う。

「もちろん、誰も彼もみんなに研究者になってほしいとは思いません。でも、能力はあるけれども、あと一押しが必要な学生たちの助けになりたい。研究を実際に体験することで、興味があるかないか、向いているかいないか考えるきっかけにしてほしい。このプログラムの後に、一緒に研究をした教員と研究を続けてくれたら、本当に嬉しいですね」。

精力的に今の仕事に取り組んでいるDominiqueさんの話を聞くとこういった研究支援、キャリア教育、学生支援のようなポジションでは研究の面白さを伝えられる理系博士ならではの活躍の仕方があるとわかる。博士のキャリアパスは決して教授や研究員だけに閉じたものではない。彼女が取り組む大学第一世代支援は貧困の差や犯罪抑制などの社会問題解消、また地域活性、科学技術の発展にもつながることが期待される。デイトンの明るい未来を期待しつつ、こんなふうに日本の理系博士人材のキャリアパスがもっと多様になってほしいと願いながら帰路へついた。