ちょっとマニアなイノベーションtop10 バイオ系機器・試薬の巻
年末恒例のXXトップ⒑みたいな投稿ってあるじゃないですか。
適度にマニアックかつ、該当分野のライフサイエンス系研究者や機器開発をしている工学系の方には興味深々なネタをご紹介。
ランキングをしているのはライフサイエンス系研究者のためのマガジン「TheScientist」、バイオ系の人間には案外お馴染みなんじゃないかと思います。
バイオ研究業界のトレンドも先端テクノロジーを追うことで見えるんじゃないかと思って、取り上げます。
ちなみにこの記事はバイオ系に向けて書いてます(専門用語も結構出るよ)。
Top 10 Innovations 2013(バイオ機器・試薬)
トップ10全ては元リンクを見てもらうとして、ざっとトップ3とそれ以外の注目の一品を紹介しようかと思います。
2位タイがあり。
1位.nVista HD (Inscopix)
生きたマウスの脳に埋め込み可能な2gの小型蛍光顕微鏡。
マウスにとって負担が少なく、マウスの行動と脳の神経活動を同時にモニタリングすることが可能ってテクノロジー。
開発・販売をしている会社はスタンフォード大からのスピンオフですね。
これはいかにもシリコンバレー。
理研の藤井先生の「拡張する脳」を読んだ今、小さい顕微鏡でも動物には結構ストレスフルで負担だし、結局計測した脳の神経活動って結構なストレス下のものじゃね?って思ってしまうんですが、小型の顕微鏡を埋めるって色んなラボが取り入れやすい手法なんだろうか?
2位.X-MAN (Reporter Kits Horizon Discovery)
再現性が高く、ハイクオリティな研究データを出せちゃうぜってテクノロジー。
タンパク質の発現とか、安定性とかって、細胞内でその特定のタンパク質(光るタグとかつけて)を過剰に発現させて(over-expression)analyzeするのが主流なんですが、その方法だと通常の細胞の状態と結構違うじゃんっていう突っ込みがはいるわけです。
そこで、通常の細胞のレベルでタグ付きのタンパク質が発現するようにしたcell lineを提供するという作戦。
500種類くらいラインがある様子。
プロメガと共同開発したみたいで、NanolucとかHalo tag使ってますね。
2位.SmartFlare RNA Detection Probes (EMD Millipore)
生きた細胞でRNAの発現が楽勝で可視化できるよってテクノロジー。
エンドサイトーシスを使って取り込まれるから培地にいれときゃ、さくっとプローブが取り込まれるよ。
プローブは細胞外に排出されるので、細胞へのダメージが少ないとのこと。
でも、動物細胞だけだよねー。
注目;第7位 SynVivo (CFD Research Corporation)
血管系をかなりリアルに再構築するチップです。
前に取り上げた「やばいTED TALK:Organs-On-A-Chip からだをチップで再構成」に似ています。
もう商品として販売もしているし、血管とそれにつながる細胞群を使って試験をささっと行えるってのがいいんだろね。
というわけで、さっと紹介しましたが、テクノロジーを使うことでよりストレスレスな状態に生命システムを近づけて、試験を行うことが現在の研究業界ではかなり可能になってきたなという所感。