若手研究者のための研究とお金入門
リバネスの若手研究者 大学院生向け研究助成 リバネス研究費も御覧ください
研究費は先生がとってきてくれるから気にしてない?研究資金を獲得するのはまだまだ先のこと?
研究者になるなら、いずれは知るべき研究資金のこと。今知っても早すぎはしない。
博士、ポスドクと進むなら学生の頃から応募できる助成金や、自分の給与も含めてサポートが受けられる奨学金についても知りたくない?
誰も教えてくれない研究とお金のことを今回まとめてみた。
Q1 学生でも応募できる研究資金ってあるの?
通常研究室の先生が研究室単位で獲得しているのは、大学から出る交付金。大学ごとの基準により、各大学から配分される。そしてそれ以外で大きな割合を占めるのが競争的研究資金。公募が出て、申請し、採択されるかたちの研究費。もっとも有名なのは日本学術振興会が出す科学研究費補助金、いわゆる「科研費」だ。実は、教育機関の教員である高等専門学校の先生や企業の研究者も応募できる。しかし、残念ながら学生は応募できない。
学生のうちに応募できる研究費で有名なのは日本科学協会が運営する「笹川科学研究助成」。申請書もシンプルなので研究費申請のトレーニングも兼ねて提出する人は多いだろう。どのようなテーマが採択されやすいのかは、過去の採択情報を見てみよう。
日本ロレアル株式会社も女性研究者の支援を目的とした助成事業を毎年行っている。
ぜひ忘れないでほしいのはリバネス研究費。50万円と少額だが、使用目的は限定されず、多数の応募機会があるので、研究費の申請を出す意味も込めて、チャレンジしてみてほしい。
サイエンスポータルには、応募中の研究助成金が出ているので参考にすると良い。
Q2 学振特別研究員ってぶっちゃけ何なの?
博士後期課程に進めば研究室で話題になる「学振」をとった、とらない、という言葉。日本学術振興会がトップクラスの若手研究者を育成するために選抜する「特別研究員」のことを指す。DC1(博士後期課程1年)、DC2(博士後期課程2年以上)、PD(博士課程修了者かそれに準ずる人)という種類があり、採択されればDCならば月額20万円の給与と年に150万円以内の研究費が支給される。PDで採択された人の92%は5年以内に常勤研究職に就いているというから、日本で研究職を目指すなら登竜門となるだろう。
学業に専念しながら自分の研究にお金がつけられる、夢のような制度だが、トップ研究者がこぞって応募してくるので、競争も激しい。申請を見据えるなら審査時期は修士課程2年の秋ごろなので、その段階で論文が出るような見込みを持って研究を進めたい。
日本学術振興会HP https://www.jsps.go.jp/
Q3 ポスドクっていくらもらえるの?
ポスドク(博士研究員)はプログラム予算の中で大学から雇用されたり、科研費やプロジェクト予算から任期付きで研究室で雇用される研究員だ。日本学術会議の調査によると、ポスドクの年収は400−500万円台の人が最も多く約3割。ポスドクキャリアがスタートする30歳未満の平均は300万〜400万未満が多い。ただし、常勤者との大きな違いは各種の保険や福利厚生が適用されない場合が多いことだ。
ポスドク時代は自分で国民年金に加入したりする必要があることを考えると、フリーランスや自営業と変わらない。年齢制限のある職も多いのでポスドクのうちに業績をあげて、常勤職を目指す必要がある。
Q4 研究にはどれくらいお金がかかるの?
■あの人の研究資金を見てみよう
分野や時代によって必要となる資金は違うので一概には言えないが、参考に、我が国のノーベル賞受賞者が獲得した&獲得している研究資金を見てみよう。
1.ノーベル化学賞受賞者 白川英樹さんの場合
- 34年間の研究費総額2億4400万円
内訳
- 科研費24件 6900万円
- 産学共同研究支援事業 7900万円
- 学内プロジェクト5件 1100万円
- 企業からの寄付金40件 2000万円
- 大学交付金 6000万円
学術振興会HP 私と科研費 より
2.ノーベル医学・生理学賞受賞者 山中伸弥さんの場合
- iPS細胞研究発表前の6年間 2億4,970万円(2005年まで)
- iPS細胞研究発表後の7年間 110億5428万円(2014年まで)
※2014年は予定最大額で換算 参考:日本の研究.comより
日本の研究.comは日本の科研費の統計データを様々な切り口から閲覧できるサイトだ。国の科学研究費に対する予算がどの分野にどのように配分されているのか、などがわかる。山中さんの例は極端だが、やはり再生医療研究に国としても力を入れ、加速させようとしていることがわかる。白川さんの研究費は、時代が違うとはいえ、そんなものなの?と感じた人も多いかもしれない。生涯で億単位のお金を動かしていく研究者は、予算を獲得し、どう効果的に使っていくかを常に考える必要がある。突き詰めていけばいくほど資金が必要となる中で、何に予算を配分するか、経営センスが問われてくる。そう考えると所属する学生もお金の「使い上手」でなくてはならないだろう。
Q5 新しい研究資金の作り方って?
国や民間の研究費に頼るだけでなく、個人の少額寄付に頼る仕組みがここ2−3年で急激にひろまっている。科学研究も個人で進める時代。個と個の力が研究を加速させる。ここでは研究資金や研究を続けるための生活費を確保する新しい取り組みについて紹介する。
対象に学生と明示されている、または学生不可と明示されていない研究助成金・奨学金一覧。
所属機関の承認が必要なものもあるので、指導教員と相談しながら、チャレンジしてみよう。(クリックして拡大)
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