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【「グリーンイノベーション/ライフイノベーション」】 グリーンイノベーション 理科からつながる未来社会① 「持続可能な社会」(vol.22)

【「グリーンイノベーション/ライフイノベーション」】 グリーンイノベーション 理科からつながる未来社会① 「持続可能な社会」(vol.22)

地球規模の気候変動や資源不足、超高齢化や遺伝子関連技術など福祉・医療や生命倫理の課題にせまられる中、社会はどこへ向かっていくのでしょうか。実は日本では、科学技術基本計画として「グリーンイノベーション/ライフイノベーション」という具体的なアクションプランを設定しています。本連載では、この2つのキーワードと理科の学びとの関わりについてとりあげていきたいと思います。

 

研究者が実現を目指す未来とは?

「太陽光や風力など再生可能な自然エネルギーが全世界の発電量のほとんどを占め、超伝導ケーブルで、無駄のない送電が可能になる」。「太陽や風
のない夜も蓄電池から電気が供給され、今の100倍以上省エネな機器で、節電しても今まで以上に便利な生活を送ることができる」。日本政府は2030年の実現に向けた具体的なアクションプランとして、様々な技術を生み出す研究計画を発表しています。その中には、実現が堅実なものもあれば、まだ見込が厳しい物まで様々です。しかし、当の研究者は大真面目に実現を目指しています。今の便利な社会も、実はそうやって作られてきているものなのです。

 

自分との関わりを実感する基礎科目

研究者らが見た夢の、ひとつの結果である科学技術は、学校で学ぶ理科と密接につながっています。例えば、エネルギーの単元は、発電所でつくられた電気が家庭へ届けられるまでをイメージするために不可欠です。また、元素について学ぶことで、携帯電話の材料に使われている、軽くて丈夫なプラスチック、電気を通す透明なディスプレイ、リチウムイオン電池など、実に30種類以上の元素が使われていることが想像できるようになるかもしれません。そうすれば、今叫ばれているエネルギーや、金属などの資源不足の課題と、自身との関わりを感じられるようになるはずです。このように基礎科目を通じて、生徒が学校で学ぶ内容と、普段の生活や社会問題とのつながりをイメージできることが重要なのです。

 

最先端を授業に持ち込む意味

さらに、自分の知識を組み合わせて課題解決へ向けての応用を考えるためには、それらの科学技術について、原理や現象の視点から見ることが必要です。例えば、原子力、火力、風力、水力など多くの発電所では、ファラデーが発見した「電磁誘導」の原理が使われています。しかし教科書に紹介されている応用は数例にすぎず、研究は常に更新し続けているため、最新情報を教科書へ掲載することができていないのが現状です。そこで、学校の授業の中でも、科学雑誌や、研究者による講演会、サイエンスカフェなど学校外のコンテンツを活用していくことが、理科と社会とのつながりを補完していくことになるのです。

 

謎や課題に挑む好奇心が、未来を支える

様々な研究の成果によって、今叫ばれている問題は解決できるかもしれません。しかし、未来ではまた予期せぬ問題が出てくることでしょう。では、本当に持続可能な社会とはなんでしょうか。例えば、今世界中で使われている送電線は、約4%の電力を熱エネルギーとしてロスします。そこで、電気抵抗がゼロとなるため全くロスのない「超伝導」に期待がされています。ところが、抵抗がゼロになる仕組みはまだわかってないことが多く、常温での超伝導の実現へは程遠いのが現状です。目標とする未来を実現するために、このような「わかっていないこと」への挑戦が欠かせません。自然の中には、むしろわかっていることの方が少ないと言っていいでしょう。理科に関わる様々な体験を通じて身につけて欲しいのは、その規模によらず、課題を正しく想像し、解決へ向けての応用や研究にワクワクできる人材を育成することではないでしょうか。自然や未来は予測不可能なもの。だからこそ、そのような人を育て続けることこそが、「持続可能な社会」なのではないでしょうか。

 

理科室に貼ろう!サイエンスポスター

本ポスターでは、地球規模の問題を解決する技術革新「グリーンイノベーション」をテーマに、今の研究と、目指している2030年の社会を紹介しています。また、関西学院大学を例に、実際行われている研究とのつながりも示しています。ポスターを通じて、生徒が理科の学びから社会を知り、夢を広げるための材料としてご利用ください!

サイズ:A2

対 象:高校生
配付先:全国の高等学校

A2poster_kwangaku_science

 

 

 

 

 

 

参考:関連単元

【物理】電気と磁気、原子・分子の世界
【化学】高分子化合物
【地学】地球の歴史、大気と海洋

関西学院大学理工学部は、「グリーンイノベーション /ライフイノベーション」の実現へ向けて、2015年に 3つの新学科を設立します。
「グリーンイノベーション」に関わる2つの新学科「先進エネルギーナノ工学科」、「環境・応用化学科」では、研究方針を広く知っていただくための講演会を開催いたします。

講演:「社会のあり方を変えよう 関学理工学部のグリーンイノベーションへの新たなる挑戦!!」

①講演者:羽村季之 教授
持続可能な社会を支える化学の挑戦 〜分子をつなぎ未来を拓く化学の夢〜
②講演者:金子忠昭 教授
超高温ナノテクノロジーを用いた次世代エネルギー材料の開発と展開  〜次世代ものづくり力の高度化に貢献する大学の役割と学生教育への展開〜

日時:2014年7月31日(木) 14時〜 17時(予定)
場所:関西学院会館(阪急 甲東園駅 徒歩12分)
対象:高校生、高校教員、一般
TEL:079-565-8300(理工学部事務室)
詳細:https://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/ja/