明治大学付属中野中学・高等学校で培地に使う藻類の簡易分析方法の開発を行う出前実験教室を実施しました

明治大学付属中野中学・高等学校で培地に使う藻類の簡易分析方法の開発を行う出前実験教室を実施しました

明治大学付属中野中学・高等学校(学校長 大渡 正士)において、2019年7月12日に出前実験教室を実施しました。今回の教室は、中学3年生から高校2年生、希望者20名を対象に、「理科室から世界につながる培地開発をしよう」というテーマで実施しました。

シャーレの中で育つ菌の画像を見たことがあるのではないでしょうか。実はシャーレの中には培地と呼ばれる、寒天が入っています。培地とは微生物や細胞を培養する上で生育に必要な栄養を提供するものです。この培地に含まれる成分を変えると、微生物の生育状況が変化するだけでなく、微生物が作り出す化学物質が変わることが知られています。そのため、微生物が作り出す化学物質を利用した新薬開発の場では、様々な培地で微生物を培養し、新しい化学物質が得られないか、日々研究が行われています。

今回の実験教室では「藻類を使った培地の開発」をテーマに、正しい配合での培地作成を行うための分析方法の開発を行いました。高度な実験設備がない場所でも、学校の理科室にあるようなかんたんな機器で分析ができる方法が開発されれば、様々な場所で微生物の研究が行えるようになります。

今回、生徒はユーグレナとスピルリナという食品にも使われている藻類を混合した粉末を使い、研究に挑戦しました。

実験教室の講師を務めた、北里大学大学院博士課程在籍のスタッフは微生物が生み出す物質が薬になり世界を救っている事例を示し、微生物培養の研究意義について語りました。また、講師は米を培地にしてカビを培養する際に、米に加える物質が変わるとカビが全く違う物質を作り出すことを研究資料を基に生徒に示し、微生物培養をする上で培地成分が重要になると生徒に伝えました。

今回の実験教室では、水性ペンと油性ペンの性質の違いを利用して、分子の持つ親水性・疎水性について基礎知識を生徒が身に着けた後、ユーグレナとスピルリナにどのような色素が含まれているのかを抽出・薄層クロマトグラフィーを用いて実験をしました。その後、3種類の緑の粉の中から、ユーグレナとスピルリナのみを混合した粉末を見分ける方法の開発に挑戦。自分たちで仮説を立て、様々な分類方法を試しました。抽出した水溶液の色の違い、顕微鏡で拡大した粉末の形や大きさ、燃焼したときのにおい、さらには試験管1本で簡便に液液分配をするなど、自由な発想が飛び交い、それぞれの方法のメリットやデメリットをプレゼンテーションしました。

教室の最後には、講師が元々は生物が苦手だったが、仕方なく受けた大学の生物の授業がきっかけで生物と化学のつながりを理解し、自分の本当にワクワクすることが何かに気づいた体験を伝えました。好きなことを突き詰めると、いつの間にか苦手なことが目の前に現れるかもしれないが、その苦手なことは自分のワクワクにつながりうる。だから、出会ってもすぐに目を背けないでほしいというメッセージを伝え、実験教室を締めくくりました。

〔参加した生徒の感想〕

  • 元々は似た色の粒で水に溶かしたり、その他の溶液に溶かすことで、色に大きな違いがあることが特に面白かったです。
  • 色だから…物理ばっかと思っていたが、生物、化学の要素があったので、発展的にできたなと思えた
  • 何かを発見するには、不必要な分野はなくて、すべてを駆使することが大切だとわかった
  • 一つの課題をクリアすると、また新たな課題が出てくる。ゴールにたどり着くまでのプロセスが
  • 大切で大変であることがわかった
  • みなさん方は分野別でも、素晴らしい研究者だと感じた。だからこそ、みなさんには頑張って欲しいと思った!また、みなさんを超える研究をしたいと思った

〔概要〕
日時:2019年7月12日(金)11:00〜16:30
会場:明治大学付属中野中学・高等学校
対象:中学3年生〜高校2年生 20名
主催:株式会社リバネス
テーマ:有機化学、色素分析、微生物培養