【実施報告】未来の教室実証事業 オンライン成果報告会「社会と学校をつなげSTEAM教育を推進するラーニングクリエイターの育成」
株式会社リバネスは令和2年度学びと社会の連携促進事業(「未来の教室」(学びの場)創出事業)の採択を受け、特に外部連携の取り組みに注目し、生徒一人ひとりのワクワクする感覚を呼び覚ますことに繋がる学びを創り、実践する「ラーニングクリエイター」の人材像に関する研究活動を行いました。その成果報告会を2月21日(日)に実施し、学校関係者や一般企業の方など合計92名の方に聴講いただきました。
※「未来の教室」実証事業は、未来を見通しにくい時代を生きる子ども達一人一人が、未来を創る当事者に育つための環境を構築するために、2018年度より行われている経済産業省の実証事業です。
本成果報告会では、研究活動を行ってきた3つの教育機関の研究成果の発表を行った後、横浜創英中学校・高等学校の工藤勇一氏、広尾学園中学校・高等学校の木村健太氏、経済産業省の小倉直子氏、株式会社リバネスの井上浄によるパネルディスカッションを行いました。
各校の研究発表
学校名:山形県立酒田東高等学校
研究テーマ:各種授業への外部連携活用手法の開発
概要:生徒自身による主体的な外部連携を行う素地の醸成をゴールに、各種授業へのオンラインによる外部連携活用手法の開発を行った。仮説としては、①当事者本人から「原体験」につながるエピソード(起業に至った経緯、思い)を組み込む、②「教科で扱う学習内容・テーマ」と「実社会」とを連携させることを設定し、デモ授業を行った。その結果、①生徒たちの課題に対するモチベーションを上げ、よりクリエイティブなアイデアにつながる、②授業の内容に対する視野を広げ、その理解を実社会へ繋げるという効果があることが分かった。最終目的である、生徒が自ら主体的に外部連携を進めたいと思う素地作りへ向けて、課題研究を中心に各教科でも、生徒の探究的な好奇心を刺激する機会を設定することが求められる。
学校名:横浜創英中学校・高等学校
研究テーマ:「意外性」に着目した、外部連携教育コンテンツ設計手法の開発
概要:生徒の科学技術への興味喚起及び行動変容をゴールに、「意外性」に着目した外部連携教育コンテンツ設計手法の開発を行った。仮説としては、①既知情報同士に「新しい関連性をつくる」ことで、意外性を生み出す、②既知情報に「未知情報との新しい関連性をつくる」ことで、意外性を生み出すことを設定し、デモ授業を行った。その結果、「意外性」に着目した外部連携教育コンテンツは、生徒への科学技術に対する興味喚起、行動変容を促す効果があることが分かった。既知の情報と新しい情報の新しい関連性を見出すために、生徒目線で学校内外様々なバックグラウンドを持つ人とコミュニケーションをとる中で、既知情報/未知情報を正確に理解していくことが最初の一歩となる。
学校名:大阪市立義務教育学校 生野未来学園(R4開校)
研究テーマ:地域の教育的資源発掘手法の開発
概要:生野のまちに誇りを持って社会に役立つ人を育てることをゴールに、地域の教育的資源発掘手法の開発を行った。具体的には、教員1人が1つ、こどもたちに紹介したい企業等を見つけ、インタビュー動画を作成し、その動画を用いた授業を行った。その結果、動画による紹介や座談会の実践が、児童・生徒たちの「働くこと」に対する理解や自身のキャリアへの関心、地元企業への興味関心を育む機会を創出することに繋がった。今後は、現在のプロセスを子どもたち自らが発掘する形に発展させること、そして教員自身が地域の教育的資源を発掘することで得られる効果を検討していくことが求められる。
パネルディスカッション
<登壇者>
- 横浜創英中学校・高等学校 工藤 勇一 氏
- 広尾学園中学校・高等学校 木村 健太 氏
- 経済産業省 小倉 直子 氏
- 株式会社リバネス 井上 浄
研究会に参加した3校の成果発表を通じて感じたことや、ラーニングクリエイターの拡大に向けて議論を行いました。議論の中では、ラーニングクリエイターを「生徒一人ひとりのワクワクを引き出すための環境を創る人材である」と捉えました。一方で、知識偏重型の教育が根深く残る中では、受験を目的としない学びの導入にはハードルがあります。その糸口としては、学校組織におけるタイムマネジメントの重要性が説かれました。限られた時間を有効に活用することで、学習指導要領をベースとしながら、上記のような取り組みを導入していくことができると考えられます。
当日の様子は以下のとおり公開しております。ぜひご覧ください。
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