【実施報告】地域産業創出セミナー 番外編「自治体、地銀、産業支援機関が、スタートアップと中堅企業連携を加速する」を実施しました
2022年3月9日、関東経済産業局委託事業である「中堅・中小企業とスタートアップの連携による価値創造チャレンジ事業」における「地域産業創出セミナー」の番外編を実施しました。当日は、全国の自治体、地域金融機関、産業支援機関を中心に約70名の方々が参加しました。
※中堅・中小企業とスタートアップの連携による価値創造チャレンジ事業について(関東経済産業局HPへ)
はじめに、関東経済産業局 製造産業課 総括係長である渡邉 亨氏より、「両利きの経営」の実践の重要性やバリューチェーン構築などのキーワードについてお話がありました。また、今回の取り組みに賛同し、本事業終了後も地域産業の成長支援をサポートすることに賛同して下さった15の自治体、金融機関、支援機関の皆様との連携について、具体的に生まれた連携事例について話がありました。さらには、今年度新たに誕生した連携事例などに触れながら、これらの連携を後押しした、自治体、地銀、産業支援機関が具体的にどの様に関わってきたのか、本セミナーの趣旨説明と共に説明がありました。
続いて、本事業の地域サポート機関としてご尽力頂いた、栃木県 産業労働観光部 産業政策課 次世代産業創造室 主任 平塚 恵一郎 氏、、多摩信用金庫 経営戦略室 地域経済研究所 イノベーション担当 黒沼 薫 氏、公益財団法人 浜松地域イノベーション推進機構 事業推進部 経営支援G 金原 督和 氏、より、それぞれの事業概要、地域企業へ現在実施している具体的な取り組みについて紹介して頂きました。
その後「自治体、地銀、産業支援機関が、スタートアップと中堅企業連携を加速する」と題したトークセッションを開始。本事業に参加した経緯について、栃木精工株式会社とインテリジェント・サーフェス株式会社とのマッチングに尽力した平塚氏より、本事業がこれまでの県内企業間でのマッチングとは異なり、県では知り得なかった、県外の先進的なスタートアップとの引き合わせることが可能であることから、新たな企業支援策の一つになると思い参加したことが話されました。また金原氏からは、協業から新規事業を生み出す動きは、組織のミッションとしても合致するため、非常に参画しやすい事業であったことが話されました。さらに黒沼氏からは、マッチングがメインでない信用金庫ではあるが、抱える企業への支援のあり方を検討する上で、これまであまり実施してこれなかったスタートアップや県外企業とのマッチング経験は貴重であり、金庫内で参画したい旨を伝えたところ、快く背中を押してもらえたことが紹介されました。
トークセッション中盤では、実際に参加してみての感想を伺ったところ、黒沼氏より、「自分たちでは普段提案できない様な連携仮説が、マッチング中次々と生まれていく様を目の当たりにし可能性を感じた。」とコメント頂き、また普段からマッチング支援を行う金原氏からは、「通常業務で行う企業関連系に比べ、事業推進者によるコミュニケーション不安が格段に低下し、安心して業務を推進することができました。また専門家による適切なコミュニケーションが自分たちだけでは作れない成功確度の高さを生み出している、それが魅力であると感じました。」とお話しいただきました。
さらに、オンライン質問ツール Slidoには「本事業の様な取り組みを実施する際には、具体的にどれほどの予算規模、実施年数を想定し活動をされているのか。また、実施に伴い意識をどう変化させたのか教えて欲しい。」といった質問が寄せられ、長谷川より「本事業は関東経済産業局の委託事業であり、参加に伴い発生する費用はありません。」と解答した上で、地域サポート機関へ意識の部分で変えたところがあるか質問したところ、金原氏からは「既に信頼関係のある関係者が行っている事業だったので、やってみたいというやる気のみ持ち合わせて参加しました。」、黒沼氏からは「普段の業務に支障の出ない事業範囲内で、最大限参加しようと思い参加しました。」、平塚氏からは「費用が発生しないことも大きなポイントでしたが、それ以上に、参加することでマッチングが成功し、新たな産業創出に繋がれば、栃木県にとって大きな財産になると思い、庁内を説得し参加しました。」とそれぞれコメント頂きました。また、補足の説明として渡邉氏より「局としては、地域未来牽引企業をはじめ多くの魅力的な企業の存在は知っているが、きめ細やかな内情を知っているのは地域の自治体や地銀、産業支援機関の皆様である。それらの血の通った、生きた情報がとても重要なのです。」と重ねてコメント頂きました。他にも「企業を推薦する際の目利きなどはどの様に行ったのでしょうか」といった質問が寄せられ、各地域サポート機関の皆様からは「おおよその選定は組織から有力な企業の吸い上げを行いましたが、最終的な決定は自らが直接話し、熱量を感じ良いと思った企業を推薦しました。」とコメント頂きました。
トークセッションの最後には本事業との今後の関わり方についてそれぞれに質問したところ、平塚氏からは「この事業は現在、自分が所属する部署のみで行っているが、今後は他部署にも拡散することで、ベンチャーなどとの先進的な取り組みを希望する県内企業にも本事業を紹介していきたい。」、黒沼氏からは「金融機関はアンテナが立つと高い行動力を示す性質がある。一つでも多く成功事例を作り、金庫内にこの事業が価値あるものであると認知させ、効果的に活用したい。」、金原氏からは「地域の企業は、ビジネスモデルの関係で下請け体質が強く、前に出る(情報発信する)機会が少ない企業が多いと感じます。だからこそ、連携事例が生まれた暁には、事業推進者と共に、これでもかというくらいメディア等で取り上げ盛り上げて貰いたいし、自分たちもしていきたい。」とコメント頂きました。本事業のマッチングは、地域サポート機関の皆様が持つ熱い想いがあったからこそ、類を見ないスピード感で進めることができた。それを確信することができたセッションとなりました。
実施後のアンケートでは、「中小企業を選択するにあたって、候補のベンチャー企業がどのような業種か程度の事前情報が欲しい。」、「いつも参考にさせて頂いております、ありがとうございます。」など多数の回答がありました。今後は、中堅企業とスタートアップの連携が双方にとって「新たな成長手段」として定着していくことを目指して、自治体や地銀、産業支援機関の関与を高めながら、本取組を進めてまいります。