福幸豚プロジェクト

食品残渣を活用した都市型の養豚が誕生する一方で、地域ならではの農産物がもつ機能性成分に着目した養豚も始まっています。株式会社リバネスは、2010年に養豚農家、琉球大学、県産農産物の加工業者とともにシークヮーサーやアセロラの加工残渣に含まれる機能性成分に着目した飼料を開発しました。飼料開発にあたっては、発酵学を応用した残渣の飼料化に加えて、栄養学の観点からビタミンなど基本飼料で不足する成分を補うよう工夫しました。そして2011年5月、その飼料を給餌した「福幸豚(ふくゆきぶた)」は、沖縄県産果実由来の飼料を食べ、県内で飼育されたという地域性を訴求し他にはないブランド構築に成功しました。福幸豚を例として、千葉県でのパンの耳の飼料化や沖縄県でのパパイヤの飼料化などが実施されており、未利用資源の活用が養豚業界へ新たな風を吹き込んできました。
沖縄県特有の農作物を食べて育ったオリジナル島豚
豚を育てた人に福が来る。
食べたみんなが幸せになる豚。
豚肉を食べる文化が根付き、日本で随一の豚肉消費量を誇る『豚の國沖縄』で開発した完全オリジナルのブランド島豚。
餌作りから、豚の飼育、加工、製造までを沖縄で行います。地球環境や豚肉を食べる人にやさしい生産・加工方法により、新たな価値を生み出します。
福幸豚の生産体制

■生産農場:宮城ファーム
自社で食品残渣の回収をして飼料化したエコフィードを作成しています。
生産から販売まで
① 生産農場
宮城ファーム(沖縄市倉敷養豚パイロット団地内)

② 屠畜
株式会社沖縄県食肉センター(南城市大里)

③ カット
有限会社守礼ミート(糸満市座波)

④ 空輸・船便にて都内店舗へ

福幸豚の特徴
①美味しさ:とろける脂、さっぱりとした口当たり
②オリジナル飼料:沖縄県産の果実を利用したエコフィード
③環境にやさしい:カーボンオフセッとん1頭で0.5tのCO2を削減
④アンチドーピング:薬剤使用を最小限に抑えた飼育
⑤トレーサビリティ:個体識別が可能な管理体制とウェブシステム
福幸豚の特徴①:美味しさ
脂の融点が低く、不飽和脂肪酸が多いため、口溶けの良い脂とさっぱりとした口当たりが特徴です。
Point1 低い温度で脂が溶ける
福幸豚は、配合飼料で育てた通常の三元豚より脂肪の溶ける温度(融点)が11.2℃も低下。

Point2 不飽和脂肪酸が多い
福幸豚は、配合飼料で育てた通常の三元豚よりリノール酸が約1.6倍、リノレン酸が約4.5倍との含有割合が高い。

福幸豚の特徴②:オリジナル飼料
~沖縄県産の果実を利用したエコフィード~
■エコフィード
スーパーや工場、ホテルから出される余剰食品(米、パン、野菜)を、緻密な栄養設計がされた秘伝のレシピで混合した循環型飼料。
■沖縄県産果実の飼料化
ノビレチンやビタミン類がたっぷり含まれたシークヮーサーの加工残さを、豚の嗜好性にあわせて飼料化することに成功。飼料の原料として確立しました。
■エコフィード
スーパーや工場、ホテルから出される余剰食品(米、パン、野菜)を、緻密な栄養設計がされた秘伝のレシピで混合した循環型飼料のことです。
■沖縄県産果実の飼料化
ノビレチンやビタミン類がたっぷり含まれたシークヮーサーの加工残さを、豚の嗜好性にあわせて飼料化することに成功。飼料の原料として確立しました。
果皮にノビレチンなどの様々な機能性成分が含まれます。果皮には苦み成分が多いため、食品としての利用は困難であり、約50%が搾汁残さとして処理されています。

オリジナルエコフィードの誕生
栄養設計されたエコフィードに、シ―クヮーサーのノビレチンやポリフェノールを豊富に含んだオリジナルエコフィードが完成しました。

福幸豚の特徴③:環境にやさしい
~「カーボンオフセッとん」1頭で0.5tのCO2を削減~
従来通り、1トンの余剰食品(残渣)を廃棄し償却処分した場合、約2トンのCO2が排出されます。一方で、これらの余剰食品を飼料化して豚に与えた場合、約4頭の豚を育てることができます。私たちは、これら余剰食品を活用して豚を育てることにより、環境への貢献ができると考えています。

福幸豚の加工品とギフトセット
福幸豚は、エコフィードによる生産だけでなく、加工品も開発、販売をしました。ベーコンやもずく入りソーセージ、レトルトカレーなど、様々な商品が開発され、Webショップ(LVNS SHOP)などで販売されました。
また、2012年には沖縄製粉株式会社のカタログギフトに、2013年には株式会社ぐるなびのカタログギフトに採用され、広く沖縄のブランド豚として届けられました。


福幸豚のイベント活用
福幸豚の特色を活かして、イベントに合った形での食材の提案を行ってきました。。
2012年6月と10月には、2回にわたりNTTデータ社の社員食堂にて提供されました。多くの社員の方がランチに利用する社員食堂において、単に美味しい豚肉を提供するだけでなく、エコフィードにより生産されていること、環境にもよい取り組みになっていることなどのストーリーを伝え、多くの人たちの支持を得ることができました。
また、2013年6月の抗加齢学会では、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルのシェフと抗加齢をテーマとした弁当を開発しました。


店舗での福幸豚メニュー
福幸豚は多くの店舗でも導入されました。
【提供実績店舗】沖縄県:10店舗 、東京都:4店舗、神奈川県:1店舗、兵庫県:1店舗
そのほか、ロワジールホテルスパタワー&那覇(沖縄県那覇市)においては、 2011年、2012年夏に行われた島豚フェアにて沖縄を代表する4種のブランド豚のひとつとして提供いただきました。

その後の展開
これまで、畜産について知見の少なかったリバネスにおいて、福幸豚は、餌(エコフィード)の開発からブランド開発、提供される飲食店でのプロモーションに至るまで、様々な経験を得ることができました。
そして、このコンセプトは、福幸地鶏(ふくゆきじどり)にも展開されていきました。